中央銀行の通貨政策委員会(Copom)が17日の会合で、経済基本金利(Selic)を2%から2・75%に引き上げた。引き上げは事前に予想されていたが、引き上げ幅は市場の予想を上回り、関係者を驚かせたと17、18日付現地紙、サイトが報じた。
15日発表の経済動向予想調査「フォーカス」では、新型コロナの感染再燃で経済活動が停滞気味という事もあり、Selicは0・5%ポイント引き上げと予想されていたが、0・75%ポイント引き上げられ、関係者を驚かせた。
経済活動が落ち込んでいる時は、景気刺激策として、Selicを引き下げるのが普通だが、今回の会合ではインフレ高進抑制を理由に、予想を上回る幅で引き上げられた。また、会合直後の記者会見でも、次回会合で同率の引き上げを行う可能性が示唆された。
Copomが最後にSelicを引き上げたのは2015年7月で、この時は年14・25%となった。その後は徐々に引き下げられ、昨年8月には年2%になった。
だが、このところのインフレ高進で、年末時点での予想インフレ率が政府目標の中央値(3・75%)を上回り、引き上げは必至となっていた。
インフレ高進は経済省も懸念しており、17日のCopomの会合前に発表した予想インフレ率は、従来の3・23%を1・27%ポイント上回る4・4%となっていた。
最近のインフレは食料品や燃料の値上がりが主要因で、政情不安も絡んだドル高レアル安、進まない予防接種、公共支出の増大などが、先行き不透明感を高めている。
Selicの引き上げはローンや銀行融資の返済金利引き上げなども招く。影響が特に大きいのは不動産購入時の融資や公的負債の返済金利だ。また、返済金利上昇で融資の利用をためらう人や企業が現れれば、生産活動への投資や雇用、所得にも影響する。
17日の引き上げ発表後、全国工業連合(CNI)は中銀は急ぎすぎとの見解を表明。CNIでは、新型コロナの感染再燃で需要の伸びが鈍るため、物価の上昇も抑えられると見ていた。また、金利が上がれば、企業や消費者の融資の利用が減り、経済活動の回復が遅れると見ている。
これに対し、サンパウロ州商業協会(ACSP)は、金利引き上げは早期の財政調整を示唆するとして、歓迎の意を表明。感染再燃と外出規制強化は家庭消費の減退を招くため、経済省などは、ドル高の影響は一時的なものと信じられるよう仕向ける必要があるとも述べた。
市場関係者は今回のSelic引き上げにはドル高レアル安を改善する目的もあったと見ているが、新型コロナの感染再燃がもたらす影響を余り考慮しておらず、危険度が高いと見ている。
米国は17日に金利を0・25%のまま据え置く一方、国内総生産(GDP)の成長予想を4・2%から6・5%に、失業率予想は5%から4・5%に修正した。
この事とSelic引き上げにより、同日の株式指数は2・21%高の11万6549・44ポイント、為替は1ドル=5・59レで終了。
18日午前9時現在の為替市場は前日比1・48%減の1ドル=5・5030レで取引が始まったが、午後5時の時点では前日比0・30%減の1ドル=5・569レとなっている。