サンパウロ州選出上議のマジョール・オリンピオ氏が18日、コロナ感染症で入院中だったサンパウロ市の病院で脳死宣告を受けた。18年の大統領選ではボルソナロ氏を熱心に支援し、同氏当選への大きな原動力となった。19日付現地紙が報じている。
オリンピオ氏は3日にサンパウロ市のサンカミーロ病院に入院したが、病状が進み、5日に集中治療室に移された上、6日には人工呼吸装置につながれた。1週間後も症状悪化が伝えられ、容体が不安視されていたが、18日に病院側から脳死が伝えられた。
上院でのコロナの犠牲者は、アロルデ・デ・オリヴェイラ氏、ジョゼ・マラニョン氏に次ぐ3人目となる。先の2氏が80歳を超えていたのに対し、オリンピオ氏は58歳の若さで亡くなった。
オリンピオ氏は入院した際、2月にサンパウロ州バウルーで起きた、ロックダウンに反対するデモに参加していたことが報じられていた。このデモの時はマスクを着用していたが、その行動には厳しい批判も寄せられていた。
オリンピオ氏は軍警から政治家に転身し、2007年にサンパウロ州議に当選し2期、2015年に下議を1期つとめた。それまでは緑の党(PV)や民主労働党(PDT)など、むしろ中道左派系の政党に属していたが、2018年に軍出身のボルソナロ氏が大統領選に出馬すると社会自由党(PSL)に移籍し、ボルソナロ氏を熱烈支援。9月のボルソナロ氏刺傷事件の際は広報役までつとめた。同年の統一選では自身も上院選に出馬しており、当選した。
だが、上議就任後ほどなくして、ボルソナロ大統領や大統領長男フラヴィオ上議と対立。一転して反ボルソナロ派に転じていた。昨年の中頃までは、完全な大統領派でコロナウイルスの脅威を軽視する典型的な「否定論者」として知られていたが、大統領の汚職隠しやコロナ対応を批判するなどの意見対立が起きて「裏切り者」発言まで飛び出し、今年に入ってからはワクチン擁護派として知られていた。それだけに、同氏の死は強い波紋を投げかけている。
オリンピオ氏の死後、ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事やマルシオ・フランサ前サンパウロ州知事、ロドリゴ・マイア前下院議長などが続々と弔辞を寄せていたが、ボルソナロ氏は無言のままだった。
連邦議会では18日に上院議長が服喪を宣言。19日には、下院でも同氏追悼のための黙祷の時間が持たれた。