サンパウロ州では感染者や入院患者急増は病院での酸素の需要増も招いており、54市で酸素不足が起こり得ると報道されている。酸素消費量が16倍に増えたサンパウロ市東部エルメリノ・マタラゾの救急診療所では19日夜、コロナで入院中の患者を他の病院に移送する必要が生じ、医療崩壊への緊迫度が高まっている。
一方、2020年の新型コロナによる死者が4万6717人に及んだサンパウロ州で、黒人や混血者(パルド)の死者は白人以上に増えていた事や、感染力が強い変異株などで感染再燃が起きる中、60歳未満の死者の割合が増えている事が分かったと20、21日付現地紙が報じた。
死者増加での社会格差は、事故や殺人といった外部要因による死者を除いた死者数がどの位増えたかで比較された。
全国分析計画センターが保健省や全国自然人登録者協会の情報システムのデータを分析した結果、昨年のサンパウロ州でのパルドを含む黒人の死者数は、通常の動きから推定される数を25・1%上回ったが、白人は11・5%上回っただけだった。
人種間で明確な差が出たのは南東部と南部で、南東部では黒人が推定値を26・1%、白人が15・5%上回った。南部では各々、22・8%と11・9%、ブラジル全体では27・6%と17・6%、上回っている。
これは、黒人の多くは市周辺部に住み、公共交通機関を使って移動し、対面での仕事を強いられる人が多い事や、周辺部は医療機関へのアクセスも不便である事などが原因と見られている。一部の専門家は予防接種は周辺部を優先すべきと訴えていたが、このデータはその主張を裏付けた。
他方、変異株の感染力の強さを証明するとも言えるのが、12月21日以降、3月19日までの州内での死者を年齢層毎に分析したデータだ。
同期間中、20~59歳の死者が最少だったのは1月3~14日(死者2481人)で、60歳以上79・36%、20~59歳20・28%、19歳以下0・16%だった。
だが、今月7~19日(死者5381人)は60歳以上71・72%、20~59歳28・04%、19歳以下0・24%で、20~59歳の増加は明白だ。
二つの期間中の死者を年齢別に見ると、90%以上の死者数増加率は15・5%。以下、80歳代83・5%、70歳代117・2%、60歳代106・3%、50歳代172%、40歳代251・6%、30歳代187・5%、20歳代188・9%、19歳以下225%だった。
パンデミック初期からの死亡率は90歳以上が2%で最も高く、60歳以上は0・7%、50歳代では0・15%だ。死者の79%は心臓疾患や糖尿病、神経疾患、肥満などのリスク要因を持っていた。だが、変異株による感染で若い人の入院や死亡が増えてからは、リスク要因が少ない人の死亡例が増えている。
サンパウロ州の1~21日の死者は8065人で、過去最多だった昨年7月の8234人超え目前だ。感染者は26万4698人で、1月の31万5071人突破は確実だ。
ブラジルの3月の死者は最初の20日間の時点で、過去最高だった昨年7月の3万2881人を上回る3万7810人となっている。