マルセロ・ケイロガ新保健相が24日、「新型コロナのワクチン接種を現状の3倍強の1日100万回分に加速する」と宣言した。ただし、いつからと開始日時を限定しなかったと23、24日付現地紙、サイトが報じた。
25日の感染者数は10万158人、累計は1232万169人、死者数は2777人、累計では30万3462人となった。
同日は新型コロナによる死者が30万人を突破した日だ。しかも感染者や死者を登録するシステムが予告なく変更され、一部または全てのデータを更新できなかった州が続出するという問題も起きた。
24日は三権の長や検察庁長官、閣僚、知事などが集まって新型コロナ対策に特化した会合を開き、ケイロガ氏も正式な保健相として参加した。医師のケイロガ氏の保健相就任で、コロナ対策がどのように変わるかは皆が注目している。
正式な保健相としての初日は、会合直後の会見でボルソナロ大統領が薬効が証明されていない薬剤を使う「早期治療」を擁護した件について訊かれ、「コロナ感染症キットに含まれているクロロキンなどの薬はどれも薬効が証明されていない」と返答。大統領の言いなりではない事を示すかの発言で始まった。
同日午後の会見では、「予防接種キャンペーンを強力に推進」との連邦政府の方針に従って、現状では1日30万回分程度のワクチン接種を1日100万回分に引き上げると発言した。
保健相は「連邦政府がワクチン確保のために努力してきた事は周知の事実」とした上、「95%の国民が接種を受けたがっているから、それに応え、予防接種計画敢行のために努める」と述べた。「1日100万回の接種実施」は計画達成のための具体的な目標だ。接種促進は大統領も前日のテレビ演説で訴えていた。
この発言は、新型コロナの現状に関するデータ登録システムで予告もなく変更が行われ、感染者や死者に関するデータが正常に新できなかった州が続出し、批判を浴びた直後に行われた。
登録システムは23日午後から不安定になっていた上、納税者番号や統一医療保健システム(SUS)上の登録番号の記載が義務付けられるようになり、市や州の担当者が最新データを入力できない事態が生じた。
入力データの突然の変更は、州と市の保健局長審議会(Conass、Conasems)からの抗議を受けて取り消されたが、セアラー州は感染者と死者のデータ更新を諦めた。
また、サンパウロ州やマット・グロッソ・ド・スル州などは市保健局がデータを更新できず、サンパウロ州の場合は前日の死者1021人増が281人増に、マット・グロッソ・ド・スル州も41人増が20人増になど、増加傾向を打ち消すかの部分的更新しか行えなかった。
それでも、24日の感染者は8万9992人増の1222万11人、死者は2009人増の30万685人と30万人の大台超えとなった。
感染者急増や死者30万人突破という事実が国民生活や経済活動に与える衝撃は大きく、ロックダウンその他の外出規制が各地で行われている。
ゲデス経済相は現状を案じ、6カ月以内に全国民への接種をと訴えていた。ケイロガ氏が挙げた目標の実現はかなり難しいが、ゲデス氏は25日に語調を一変させ、「保健相の発言通りに接種が行われれば、ブラジル経済は60日以内に新局面を迎える」と述べ始めた。