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五輪=聖火リレーにブラジル人参加=「日伯友好」胸に入魂の走り

担当するコース完走し、想いを語る野口さん(群馬県1日目 デイリーハイライト映像より)

担当するコース完走し、想いを語る野口さん(群馬県1日目 デイリーハイライト映像より)

 東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて3月25日に福島県から始まった聖火リレー。47都道府県を繋いでいく中、現時点で2人のブラジル人ランナーが参加している。
 3月29日に、栃木県鹿沼市内のコースを走り、日本で聖火を持つ初めてのブラジル人となったエドゥアルド・ラガレス・ド・ナシメントさん(34歳)と、30日に群馬県大泉町役場で通訳をする野口ブルーナ(22歳)さんが次の走者へと灯を繋いだ。
 大会組織委員会に提出されたランナー志望動機書によると、ブラジル国内で日系人の友人や親戚に囲まれて育ったというナシメントさんは、2015年にブラジルから訪日した。「オリンピックには私たちの次世代へ送る最高のメッセージが集約されています。私が参加する事でブラジルと地域の代表として多様性を加え、両国民の親密な関係への賛辞を表したい」という想いが綴られている。

コースを走るナシメントさん(写真提供Eduardo: Julia Stusova)

コースを走るナシメントさん(写真提供Eduardo: Julia Stusova)

 ナシメントさんは訪日中にもブラジリア・カトリック大学(Católica EAD)の経営学の学士号を取得。同大学は東京に所在する提携キャンパスで遠隔授業を行っており、ナシメントさんにとって2つ目の学士号取得となる。
 一方、「日本でたくさんの愛に包まれて育ってきました。それを走って恩返ししたい」と感謝の気持ちを伝えるためにランナーを志望した野口さんは、ブラジル生まれで4歳の頃に訪日し、以降日本で育った。
 東日本震災後に1年半ほど東北に住み、石巻の大川小学校も実際に見たという。被災した人の話を聞くたび「その人たちの分も頑張って生きよう」と決意してきた。「だから私は自分の姿を通して被災された方々から受けた勇気や優しさを返したいと思っています」と動機を綴っている。
 21年に再度提出された志望動機の一部に「たかが200メートル、されど200メートル。私はこの与えられた200メートルに感謝の気持ちを込めて一生懸命走ろうと思います」と綴った。
 聖火リレー群馬県1日目デイリーハイライト映像には、野口さんの完走後のコメントも入っており「感謝と感動で胸がいっぱい」「笑顔で手を振ってくれるのが嬉しかった」と達成感に包まれた笑顔でコメントしている。
 二人の走る様子は東京五輪サイトに掲載されている『栃木県2日目 デイリーハイライト映像』(https://tokyo2020.org/ja/torch/gallery/videos/olympic-torch-relay-tochigi-day2)『群馬県1日目 デイリーハイライト映像』(https://tokyo2020.org/ja/torch/gallery/videos/olympic-torch-relay-gunma-day1)で一部動画に収められている。