ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》大統領派がコロナ禍CPI阻止に懸命=州や市も巻き添えに=最高裁では具体的な審理も=開始はパンデミック後か

《ブラジル》大統領派がコロナ禍CPI阻止に懸命=州や市も巻き添えに=最高裁では具体的な審理も=開始はパンデミック後か

上院政府リーダーのベゼーラ上議(Marcelo Camargo)

 ボルソナロ大統領の陣営が、コロナ禍での政府対応に対する上院の議会調査委員会(CPI)を潰そうと躍起になっている。一方、CPI開設を命じた最高裁側は、CPIの開設時期などをめぐり、審理を行う。13日付現地紙、サイトが報じている。
 CPI開設はルイス・ロベルト・バローゾ判事が8日に命じたもので、ボルソナロ大統領に強い動揺を与えた。同CPIでは、エドゥアルド・パズエロ前保健相がマナウスでの医療崩壊の責任などを問われる見込みで、悪印象を残した場合は大統領自身も責任が問われ、罷免に追い込まれかねないためだ。
 上院の大統領派議員らは、13日16時から行われる予定の上院本会議で、ロドリゴ・パシェコ上院議長がCPIの開設宣言を読み上げるのを阻止するため、開設目的などに関する質問攻勢を浴びせる意向でいる。
 また、パシェコ議長が読み上げを行った場合も、CPIの活動そのものを阻止または遅らせるため、各政党のリーダーたちに対し、委員を決めさせないよう動いている。
 それと並行して、進歩党(PP)、社会民主党(PSD)、民主党(DEM)といった大統領に協力的な政党、さらに連邦政府リーダーのフェルナンド・ベゼーラ上議(MDB)が、連邦政府に対するCPIと並行し、州や市に対する調査を行うためのCPIも開設することを働きかけている。
 この動きには下院の連邦政府リーダー、エドゥアルド・ゴメス下議(MDB)も絡んでいる。同下議は、下院で同様のCPI開設への動きを起こすことによって、本来の上院のCPIへの注目をそらせ、コロナ禍の責任を問う声が連邦政府や大統領に集中するのを避けようとしている。

 そして万が一、それも叶わぬ場合、大統領派はCPIの委員長や報告官に、連邦政府と州の両方を対象にすることを求めるつもりだ。ただし、CPIが調査できるのは知事や市長の対策そのものではなく、国から送られたコロナ対策費が不正な形で使われていないかなどに限られる。
 このCPI問題を重く見たルイス・フクス最高裁長官は、バローゾ判事のCPI開設命令を有効なものにするか否かの審理を14日に前倒しすることにした。この日は、ラヴァ・ジャット作戦におけるルーラ元大統領の裁判無効を宣言したエジソン・ファキン判事の判断に対する審理を行う日でもある。最高裁としては、このCPIをどのようなものにするかを、16~26日にかけて審理する意向だ。
 大方の最高裁判事は、CPIの審議開始は「パンデミックがひと段落ついてからが妥当」と見ている。それは、バローゾ判事がすでに「審議を対面で行える状況で」との指示を行っているためだ。この点に関連し、上院のCPI開設反対派が、「ネットを介しての遠隔作業になること」を理由にしてCPIを反故にしようとする動きもあるため、それを避ける判断を行うことが考えられる。
 上院ではすでに、コロナ感染症により3人の上議が命を落としている。また、ボルソナロ大統領や大統領派議員らはバローゾ判事への批判を行っているが、同判事は上院内で集められたCPI開設のための署名が規定数を上回っているのに、上院議長が開設を引き延ばしていることを不服とする議員たちの訴えを認めただけだ。開設派の議員たちはより多くの署名を集める動きも見せている。