ロドリゴ・パシェコ上院議長(民主党・DEM)が13日、最高裁のルイス・ロベルト・バローゾ判事が8日に行った命令に従い、コロナ禍における連邦政府の対応などに関する議会調査委員会(CPI)を開くことを宣言した。このCPIの対象はほぼ連邦政府のみで、ボルソナロ大統領が是が非でも避けたがっていた形となる。14日付現地紙が報じている。
パシェコ上院議長は13日、コロナ禍CPIに関する概要を固め、開設を宣言した。基本となるのは、上院の野党リーダーでもあるランドルフ・ロドリゲス上議(レデ)の提案した「2021年年頭に起きた、アマゾナス州の病院に入院していた患者用の酸素不足に見る重篤な公衆衛生上の問題を中心に、コロナ禍における、連邦政府の対策ならびに連邦政府が怠った対策に対する調査を目的とするCPI」という考え方だ。
これに、エドゥアルド・ジロン上議(ポデモス)が提案した、連邦政府側の意向を汲んだ調査内容の一部が加えられることになる。ボルソナロ大統領はこのCPIが連邦政府だけを攻撃対象とするものになることを恐れ、矛先を州や市にも向けようとしていた。このCPIで連邦政府に悪印象を残す結果となれば、自身が罷免処分にあう可能性も否定しきれなくなるからだ。
だが、連邦議会が開設するCPIという性質上、対象とされるのは「連邦政府から州や市への援助金の使途や使用状況」のみで、むしろ、連邦政府の業務状況を問うものとなる。「知事や市長たちのコロナ禍に対する働き」という、ボルソナロ大統領が含めることを強く願ったものは対象外となった。この点は、パシェコ議長の口からもはっきりと明言された。
この上院CPIの対象は、開設要請が出された時点で、「下院や司法、自治体に関するものを含まない」ことが明記されていたため、知事や市長のコロナ対策そのものは対象外となることは必然との見方が強かった。
パシェコ議長は、このCPIの開設の理由を、「バローゾ判事からの命令に従ったものであり、CPI開設に必須の、上院の3分の1以上の署名という条件を満たしたため」と語った。上院でのCPI開設に関する嘆願署名は、3分の1(27人)を超え、34人に達していた。
パシェコ議長の宣言により、コロナ禍CPIの開設は決まり、対象も決まった。だが同議長は、これをいつからはじめるのか、対面を必須とするのか、遠隔作業を認めるのか、などの判断は出さなかった。
連邦政府側の上議たちはこの日、この開設宣言の読み上げを遅らせようと試みた。上院連邦政府リーダーのエドゥアルド・ゴメス上議(民主運動党・MDB)は、「上院では死者も出てもいるので、上議全員がワクチン接種を行うまでははじめない」ことを提案したが、これに対して、ランドルフ上議が「それを待っていたら、ボルソナロ政権の終わりまではじめられなくなる」と強く反論し、却下された。
同CPIは開始から終了までが90日間の会期であることが定められており、官報に開設を公示後、11人の委員と7人の補欠を決めることになる。CPIの委員や補欠は政党またはブロックごとに人数が割り当てられており、過半数が与党ならびに独立派で占められることになる。大統領派は今後、委員長や報告官を野党議員が占めることがないよう、やっきになると見られている。
各政党はCPIの委員の選出・指名作業をはじめており、民主社会党(PSDB)はタッソ・ジェレイサッチ上議、民主運動(MDB)はレナン・カリェイロス上議といった、かねてからボルソナロ政権に厳しいことで有名な重鎮クラスの名前を挙げはじめているという。