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《ブラジル》コロナ禍CPI委員18人の顔ぶれ決まる=大統領にさらに厳しい展開=タッソやレナンらの名前も

CPI委員の顔ぶれ(Twitter)

 ロドリゴ・パシェコ上院議長(民主党・DEM)が14日に、コロナ禍における連邦政府の対応に関する議会調査委員会(CPI)の開設を宣言した後、各政党がCPIの委員を早々に選出した。そこには、CPIの開設を提案したランドルフ・ロドリゲス上議(レデ)をはじめ、ボルソナロ政権批判者として知られる党の重鎮たちが並び、ボルソナロ大統領にとってきびしい顔ぶれとなった。15日付現地紙が報じている。
 CPIの委員は11人で構成されるが、連邦政府側の委員は2人、連邦政府に近い立場の委員も2人の計4人で、政府を擁護する可能性のある委員は過半数を割っている。残りは中立派が2人、野党が2人、野党に近い人が3人という陣容になっている。
 野党側からは、ランドルフ氏に加えて、ウンベルト・コスタ氏(労働者党・PT)が選ばれた。ランドルフ氏は下議時代に、同じく下議だったボルソナロ氏ともっとも対立した議員のひとりで、PT政権の保健相として知られるコスタ氏は、ネット上での左派きっての論客でもある。
 「野党に近い側」の3人からは、タッソ・ジェレイサッチ氏(民主社会党・PSDB)、レナン・カリェイロス氏(MDB)、オットー・アレンカール氏(社会民主党・PSD)という、いずれも大型党の重鎮クラスが選ばれた。
 アエシオ・ネーヴェス氏がJBSショックで上議停職となった時、PSDBの臨時党首をつとめたこともあるタッソ氏は、上院きっての厳しい言動で知られ、反ボルソナロ派の代表格でもある。レナン氏は、ジウマ大統領時代にPTと蜜月関係にあった元上院議長だ。医師出身のオットー氏は、今回のコロナ禍に関して、大統領批判を幾度も繰り返している。

 連邦政府側からは進歩党(PP)党首のシロ・ノゲイラ氏とジョルジーニョ・メロ氏(自由党・PL)、政府に近い側からは、エドゥアルド・ジロン氏(ポデモス)とマルコス・ノゲイラ氏(DEM)が選ばれた。
 中立派と言えるのは、エドゥアルド・ブラガ(MDB)とオマール・アジス氏(PSD)だ。
 補欠委員は、ジャデル・バルバーリョ(MDB)、ルイス・カルロス・エインゼ(PP)、アンジェロ・コロネル(PSD)、マルコス・ド・ヴァル(ポデモス)、ロジェリオ・カルヴァーリョ(PT)、アレサンドロ・ヴィエイラ(シダダニア)、ゼキーニャ・マリーニョ(キリスト教社会党・PSC)の各氏がつとめる。
 14日は最高裁で改めて、今回のCPI開設を命じたルイス・ロベルト・バローゾ判事の仮判断に対する審理が行われた。判事投票では、マルコ・アウレーリオ判事以外の10人の判事が賛成を示し、CPIの開設が正式に決まった。
 今後のCPIの会合をパンデミックが収束した後に対面で行うか、遠隔審議になっても早く行うかなどに関しては、上院で決めることになる。
 避けたかったCPIが実質的に連邦政府のみに向けたものとして開設されるなど、ボルソナロ大統領には厳しい展開となっている。それに追い打ちをかけるように、アマゾナス州マナウス市での医療崩壊に関する、エドゥアルド・パズエロ前保健相とアマゾナス州保健局長の責任を追及していた連邦検察庁アマゾナス州支部が14日、両者を起訴する手続きに入った。また、連邦会計検査院(TCU)もパズエロ氏への懲罰適用を求める動きを強めている。
 CPIでの責任追及を逃れさせるために大統領が更迭したエルネスト・アラウージョ元外相も、調査対象に加えられる見込みだ。