新型コロナの影響による利用者減少などで、2020年のサンパウロ市の地下鉄の収益は17億レアルの損失を出し、運行本数減少などを余儀なくされたと1、13日付伯字紙、サイトが報じた。
新型コロナ感染への恐怖心や、在宅勤務や在宅と職場勤務を組み合わせたハイブリッドと呼ばれる勤務形態が増えた事、外出規制や大型休暇の導入などは、地下鉄やバスといった公共交通機関の利用者減少を招いた。
サンパウロ市地下鉄の昨年の利用者の平均は260万人/日で、パンデミック前の330万人/日比で21%減少した。年間利用者は49・5%減少との報道もあるが、利用者の減少に伴う減収は47・7%に及び、営業開始以来初の17億レアルという損失を招いた。
これに対応するため、地下鉄公社は運行回数を減少。平日の運行回数は1号線が1010回から846回に、2号線が833回から827回に、3号線が1055回から869回に、15号線が590回から394回に、各々減少した。
ピーク時の運行車両数も、1号線が41から36に、2号線が27から19に、3号線が41から38に減少。15号線だけは10から12に増えた。3号線ではピーク時以外の車両数が8減るなど、全体の動きが縮小している。
これにより運転間隔(待ち時間は)は、1号線が141秒から180秒に、2号線が194秒から274秒に、3号線が137秒から172秒に、15号線が248秒から455秒に延びた。
地下鉄公社では、利用者減による減収と、裁判所から命じられた賠償責任遂行や消毒などのサービス増加に伴う支出増をカバーし、収支バランスを保つため、車両数や運行回数を減らす以外の対策を講じる必要に駆られている。
現在は券売所閉鎖や投資計画の見直しなどが予定されているが、新型コロナの感染拡大を避ける意味で、3密を生じさせない程度のサービス維持も課題となる。
公共交通機関の利用者も、乗車の前後にアルコールジェルで消毒する、マスクの着用を徹底する、車内では他者との会話や携帯電話での通話などを避けるなどして、感染抑制に協力する事が必要だ。専門家は、窓の傍など、換気の良い場所の方が感染する危険が少ないとアドバイスしている。
地下鉄やCPTM(都電)などの職員達は、公共交通機関の職員を新型コロナワクチンの緊急接種の対象とするよう求めており、地下鉄は20日、CPTMは27日にストを行う予定だ。
20日の地下鉄ストには、民営路線の4号線と5号線も参加する。この日は州内のバスの職員ストも予定されている。
地下鉄職員の組合は新型コロナの犠牲者追悼のため、16日を「ジア・デ・ルット・エ・デ・ルッタ」(Dia de Luto e de Luta)とし、ユニフォームの代わりに黒い服を着用、趣旨を示すシールを貼って勤務する事も決めている。