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日語センター総会=コロナ禍で収入半減の大打撃=オンライン授業で現状打開へ=日本語教育推進法に期待

総会の様子

総会の様子

 ブラジル日本語センター(日下野良武理事長)は3月20日に「第33回通常総会」と「第37回評議員総会」オンラインで開催した。通常は別々に行うが、コロナ禍を考慮して特別に合同開催し、両総会に43人が参加した。150万レアルの収入見込みが実際には74万レと半減するなど、コロナ禍で厳しい一年となったことが報告された。


 日下野理事長は開会挨拶で参加者に感謝を述べたあと「コロナ災禍の真っ最中で、皆さん大変ご不自由なさっていると思います。しかし、乗り切っていくしかない。皆で我慢しながら乗り切りましよう」と鼓舞し、「3年前に掲げた目標『日本国内の政府や団体、有力者の連携』『会員を増やす』『先生方のレベルアップ』がどれもきちんとした結果がでて居らず、ここでお詫び申上げます」と頭を下げた。
 昨年は日伯両国の有力者からの寄付があったことを報告。「ブラジルや南米の日本語教育に大変関心を持って居られる事ががわかり、これからも推進していかないといけない」と襟を正した。
 JICAや日本国際交流基金からコロナ禍特別支援の検討が進んでおり「日本政府が理解して頂いている事に大変嬉しく思います」と感謝した。

挨拶をする日下野会長

挨拶をする日下野会長

 続いて諸川有朋(もろかわ・ゆうほう)評議員会会長の挨拶で「コロナ禍で日本語教育をはじめとする教育全体で大打撃を受けた」と述べ、センターの財政も厳しくなっていることから「評議員の皆さん、余裕がある人は可能な範囲でご協力頂きたい」と呼びかけた。
 具体的には、2020年度会計報告では150万レアルの収入見込が実際は74万レアルと半減した。財務担当の篠原一宇副理事長は「コロナ禍による影響」と説明。
 大きな収入源の『日本語能力試験』が中止され、センターテストのみとなったため、20年度の試験実施による収入予定32万2674レが、実収入4万1887レまでに激減した。
 学習者支援部のセミナーやコンテスト、『ふれあい日本の旅』の中止や、会費収入も会員の経済状況悪化で予定の15万1千レから10万4500レと三分の二となっている事も説明された。
 支出の節約が必要となり、交通費カットや今年の昇給を無くすなど固定人件費も節制を行ったものの34万582レの赤字を計上している。
 21年度事業計画指針では①コロナ禍の収束と授業の平常化。②ハイブリッド授業/オンライン会議の定着。③日本語教育推進法の施行に関する対策強化。④ブラジル国内の成長率を織り込んだ事業を目標に掲げる。
 オンラインによる授業や会議の必要性が高まり、ネット技術を組み合わせたハイブリット授業へのニーズへ向けて勉強会も組み込まれた。
 日本政府の日本語教育推進法には、国外における日本語学習への機会拡充や支援なども組み込まれており「コロナ禍で同法令へのアプローチは止まっていたが、今後は予算確保に動く必要がある」とセンター関係者や理事に呼びかけた。
 21年度予算は日本語能力試験や学習者支援事業などの全事業を実施する前提で、支出153万6318レ、収入1538万518レの予算を発表し承認された。
 閉会挨拶で日下野理事長は「2年連続でオンライン会議となりましたが、是非来年には対面で皆さんと夢や悩みを語り合いたい」とコロナ禍収束へと願いを込めた。