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《ブラジル》ボルソナロはコロナ禍悪化の世界的脅威?!=アルゼンチンで批判集会=『サイエンス』誌も厳しく指弾

ブエノスアイレスで起きたボルソナロ大統領への抗議行動について報じた15日付カルタカピタルの記事の一部

 【既報関連】連邦政府の新型コロナ対策に関連し、上院が議会調査委員会(CPI)の開設を宣言し、正副委員長や報告官を選出しているが、ボルソナロ大統領によるコロナ関連の言動や対策を問題視する動きは国内だけに止まらず、権威ある国際誌などによる批判や、隣国アルゼンチンでの大統領を名指しにした抗議行動なども起きたと15、16日付伯字紙、サイトが報じた。
 連邦政府のコロナ対策に対する批判は、国際的な科学雑誌『サイエンス』に掲載された。研究者達は、ブラジルのコロナ禍は「無策とミスという危険な組み合わせ」により深刻化したと指摘。「無策」という言葉は州や市と協力した国を挙げての対策の欠如を指し、「ミス」という言葉は有効性が証明されていない薬による早期治療推奨などを指している。
 研究者達は、コロナウイルスの感染拡大が抑制できない現状が感染力の強い変異株の出現や感染加速を招き得る事や、充分回避できるはずの人為的な危機を招き、地球規模の公衆衛生上の脅威としてブラジルを孤立させ得る事も指摘している。
 研究者達はブラジルの問題点として、病床数や医師数、所得などの社会格差の大きさ、市内外をつなぐ交通網やサービス、ビジネスをピーク時も封鎖しなかった事、挙国体制を採るべき時期に大統領と知事達との間に対立が生じ、抑制策の内容や参加の在り方にばらつきが生じた事などを挙げた。

 さらに、公衆衛生上の監視システムの不備により、感染者確認までに1カ月以上、ウイルスの蔓延を許した事、明確な基準もなく、抑制策の採用や緩和を決め、感染拡大を促した事などを列挙。予防接種推進と共に、社会隔離などの感染抑制策を即座に採るよう求めた。
 非政府団体(NGO)の「国境なき医師団」は、「ブラジルは未だに中央管理型の効果的なコロナ対策が採れず、人為的な大災害と多数の国民の死を招いている」と指摘した。同医師団は、コロナ対策が政治的な意図で左右されている事も批判し、早急に事態の深刻さを認めるよう求めた。
 ブラジルの感染者は1374万6681人で世界3位、死者は36万5444人で世界2位だ。世界人口の2・7%しか占めないブラジルだが、先週の新規感染者(49万1409人)は世界中の11%、新たな死者(2万1141人)は26%を占めている。
 他方、ボルソナロ大統領は15日、アルゼンチンが夜間の外出を規制した事を批判し、「国民を家に閉じ込めておくために軍が出動」とツイートした。隣国のフェルナンデス大統領はこれを受け、「憲法がどのように機能するかをボルソナロ氏に説明しなくては」と述べた後、軍医派遣や国民への支援を軍に要請したが、「我が国では戒厳令は敷いていないし、軍は国内の治安活動には参加しない」と反論。感染状況が改善すれば種々の規制は解く事も明言した。
 ブエノスアイレスでは同日午後「ボルソナロ出ていけ」「ボルソナロ変異株」「世界的脅威」「ブラジル国民への全面支援」などと書いた横断幕を掲げた人々がブラジル大使館前に集まり、ボルソナロ氏への抗議活動を行った。

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