新型コロナによる死者増加が続く中、ブラジルでは初の平均寿命低下が起き、連邦自治体によっては3年以上も短命になったと19日付現地紙が報じた。
ハーバード大学公衆衛生科グローバルヘルス&ポピュレーション部門のブラジル人研究者のマルシア・カストロ氏らによると、コロナ禍により、ブラジル全体で1・94年、複数の連邦自治体では3年以上、平均寿命が短くなるという。
18日現在のコロナ禍による死者は37万3335人で、直近7日間の死者は2万198人、1日あたりの平均の死者は2885人だ。感染学上の第15週(11~17日)の死者は2万344人で、過去最多だった第14週の2万1141人より3・8%減ったが、それでも、パンデミック下では2番目に多い。
平均寿命が最も短くなると見られているのは連邦直轄区で、3・68年短命となる見込みだ。以下、北部のアマパーの3・62年やロライマの3・28年が続いている。
他方、18日現在の死者が8万8350人で全国最多のサンパウロ州は、平均寿命が2・17年縮むと見られている。全国平均では1・94年短くなる見込みだが、これは、コロナ禍によって35万人以上の死者が出ている事が最大の原因だ。
地理統計院(IBGE)によると、ブラジルでの平均寿命低下は1940年の統計開始以来初めてだ。統計初年の平均寿命は45・5歳だったが、医学やブラジル全体の発展、新生児や乳幼児の死亡率低下などで、1980年は62・5歳、2000年は69・8歳になった。
近年の延びは減速したものの、ブラジルの平均寿命は現在の76・6歳まで常に延び続けてきた。このような流れを変えたのがコロナ禍だ。
カストロ氏らの研究がいつの時点の数字を基にしているかは明記されていないが、ブラジルでは6州で1~3月の死者数が昨年の死者総数を突破。18日現在の数字では、さらに4州で1月以降の死者数が昨年の死者総数を超えた。4月1~18日の死者は5万1820人で、3月の6万6573人を超える事や今月中に今年の累計が昨年の総計を超える事は確実だ。
短命化の度合いは北東部でも大きく、セルジッペで2・21年、セアラーで2・09年、ペルナンブコで2・01年縮む見込みだ。
南東部ではエスピリトサントの3・01年低下が最も深刻で、リオでも2・62年縮むと見られている。南部3州はいずれも2年未満の低下となる見込みだ。
平均寿命低下には死者の年齢なども関係しており、死亡率や死者数だけでは判断できない。その事は、100万人あたりの死者が2391人で死亡率は4位の連邦直轄区の平均寿命が、死者数1位のサンパウロ州や死亡率1位のアマゾナスよりコロナ禍の影響を強く受けている事からも明らかだ。
18日付フォーリャ紙は、サンパウロ市では昨年3月以降、コロナによって1万9897人(597人に1人)が死亡しており、殺人事件や事故などの暴力沙汰(8053人に1人の1474人死亡)の13倍も危険な上、死者増加のペースが加速していると警告している。
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