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《ブラジル》遠隔授業で国内外の生徒獲得?=コロナ禍での予期せぬ副産物

ボリビアからサンパウロ州の学校の授業に参加しているダミアン君(19日付エスタード紙の記事の一部)

 新型コロナのパンデミックで対面授業ができず、学力が低下する生徒などが出る一方、遠隔授業の恩恵を満喫している生徒や学校もある。
 サンパウロ大都市圏サンタナ・ド・パライバ市の私立校の新入生のダミアン君(7)は、2千キロ以上離れたボリビアのサンタクルス・デ・ラ・シエラ市から、遠隔授業に参加している。
 ダミアン君は父親の転勤でブラジルに転居する事が決まっているが、転居が遅れ、遠隔授業を受けている。ダミアン君は家族揃ってブラジルに移動する日に備え、写真とビデオで学校や級友を知り、ポルトガル語を学ぼうとしている。両親は、遠隔授業で学校の雰囲気や生活のリズムを体験できる事も期待している。
 対面授業ができなくて生じる不都合は多々あるが、遠隔授業故に可能となるのが、市や州といった枠や国境を越えた生徒との出会いだ。越境通学は大変だが、遠隔授業だと、市や州などの境は難なく越えられる。
 また、時差調整の必要や忍耐が必要となる場面はあるが、遠隔授業で異文化や他国での経験を共有する体験は、自分達が住む国や町にいながらできる「交換留学」だ。
 ダミアン君がポルトガル語に不慣れなため、先生達はゆっくり話してくれる。級友達も、聞きなれない訛り混じりのポルトガル語に興味津々だという。ダミアン君が唯一苦労しているのは、時差のため、朝7時前には起きていなければならない事だという。

 昨年、サンパウロ市の学校に入学したが、パンデミックで対面授業が中断され、マット・グロッソ州クイアバ市で遠隔授業を受けているラウラ・ファブリスさん(16)も早起き組だ。ラウラさんは6時半にはスタンバイしているが、学校の時計は7時半。最初は大変だったが、「もう慣れた」と彼女は笑う。
 ラウラさんは2月にサンパウロ市に戻ったが、感染再燃による対面授業中断で地元に帰った。対面授業再開後も、感染の危険度が高い間は地元にいるつもりだという。
 ギリェルメ君(6)は転校直後に、サンパウロ市からミナス州バロン・デ・コカイス市に引っ越したが、サンパウロ市の学校に籍を残し、遠隔授業を受け続けている。母親のマリアナ・ジラウデスさん(39)は、技師の夫と共に転居するため、弁護士としての仕事を全面的にリモートワークに切り替えた。
 また、9歳のガブリエル君と7歳のララちゃんは、サンタカタリーナ州ブルメナウ市からサンパウロ市に引っ越してくる予定だったため、2~4月は遠隔授業を受けた。現在はサンパウロ市に着き、ララちゃんは先週、ガブリエル君は今週、学校に初登校した。両親は「遠隔授業は国外からでも受けられるが、生徒同士や先生との触れ合い、社会生活のためには、対面授業や共同生活が必要だ」と述べている。
 遠隔授業を利用して国内外の学校で学ぶ例は仕事でも見られ、国内にいながら大手の多国籍企業に就職し、活躍する人も増えている。(19日付エスタード紙などより)

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