22年の大統領選が早くも熱気を帯びたものになっている。
15日、最高裁がルーラ元大統領が抱えていたラヴァ・ジャット作戦での有罪裁判2つに関し、エジソン・ファキン判事が3月8日に下した無効判断を判事投票8-3で支持した。これでルーラ氏の大統領選出馬資格が復活したためだ。ルーラ氏立候補への支障はなくなった。
仮にこの先、最高裁判事が交代しても、退官予定のマルコ・アウレーリオ判事はルーラ氏の裁判取り消しに否定の投票をすでに行っており、ボルソナロ大統領が後任判事を自分に有利な人物を選んだところで判事投票結果が変わらない。
加えて、ルーラ氏が有罪になっていた裁判を他の裁判所で今から1審からやりなおしたとしても、出馬資格を失う「2審有罪」が大統領選までに下される可能性はほとんどない。
裁判の無効が決定して以降、ルーラ氏の出馬資格復活は国民に好意的に受け入れられている。大統領選世論調査が行われるたびにルーラ氏を支持する人たちが増え、現状ですでにボルソナロ氏の支持を上回りはじめている。大統領選本番まで、まだ1年半もあるというのにだ。
他の候補者がまだ誰も具体的なキャンペーンをやっておらず、ルーラ氏もまだ出馬を明言していない状況でこの有様。これが来年に入り、各候補者が自分の公約を公表して選挙戦に臨むようになったら、ボルソナロ氏の苦戦はさらに悪くなるのは目に見えている。
ボルソナロ氏本人も今の状況を恐れ出したか、早速、選挙対策に乗り出している。しかし、それは政策ではなく「選挙のやり方の改正」だ。
下院では現在、大統領の腹心ビア・キシス下議が、選挙方法を昔のような紙の投票に戻すための改正法案を準備している。彼らはこのやり方こそが「選挙を正当にやる方法」だと訴えているが、「電子投票よりも正確」の根拠がまるでない。
よって、原始的なやり方への復活を求めることで却って「我々は選挙で不正をして勝つ」と予告しているようなもの、との声すらある。そんな憲法改正案が両院で共に3分の2以上の支持など得られるはずがない。
コラム子が思うに、ボルソナロ氏が選挙で勝てるように法改正するなら、「決選投票の廃止」、これしかないと思う。一次投票での人気だけであれば、今でも安定して30%前後を獲得できる人気はある。だから、その固定数さえ押さえれば他の候補に勝てるかもしれない。
だが、今のボルソナロ氏の問題は、支持層は「ある特定の層」にとどまっていることだ。存在はするものの、それは過半数を超えない。むしろ今の状況ではアンチがどんどん増えており、不支持率が50%を上回る危険性が強まっていることだ。
相手がルーラ氏でなくとも、「ボルソナロ氏でなければ誰でもいい」という勢力に負けることも考えられる。すでに現状の世論調査でも、そのことは指摘されている。
それだけ、自身の身内の汚職疑惑や、自身や側近政治家からの非民主的で暴力的な言動、怠惰なコロナ対策で38万人以上を死なせた悪印象は拭いがたいということだ。(陽)