マルセロ・ケイロガ保健相が26日、上院の公聴会で、複数の州で第2回目のコロナワクチンの接種に問題が生じている事やパンデミックの深刻さを認め、マスク着用などの基本的な対策順守の必要を強調したと26日付現地サイトが報じた。
ワクチン接種は新型コロナの感染拡大抑制や経済活動の回復に不可欠とされているが、必要量のワクチン確保や配布、接種には、様々なレベルで問題が生じている。
ワクチン確保での問題は、中国製という事でコロナバックの購入計画を反故にした事や、副反応などで問題が生じた場合の責任に関する条項故にファイザー社製のワクチンの購入が遅れた事、現在使用中のワクチン2種の生産が有効成分を輸入に頼っている事などだ。
国家衛生監督庁(Anvisa)は26日夜、安全性などを理由に、ロシア製のスプートニクVの輸入と緊急使用への許可を拒んだ。これは保健省のワクチン調達計画にも影響するが、同ワクチンの購入を望み、早期の許可を求めていた北東部など9州の知事は一斉に抗議の声を上げている。
また、中国からの有効成分の輸入の遅れはコロナバックの納品の遅れを招いた。オズワルド・クルス財団(Fiocruz)も、オックスフォード・ワクチンの製造や納品が遅れている。
購入や納品の遅れは配布の遅れも招き、各地でワクチン接種中断が起きている。ケイロガ氏は26日、パズエロ前保健相が3月21日に2度目の接種用に取り分けたワクチンを初回接種に使う事を認めた事や、ブタンタン研究所からの納品の遅れにより、2度目の接種用のコロナバックの調達が困難だと語った。
保健省のアルナルド・メデイロス氏は26日、「段階毎の必要量を配布するよう努めている」と語ったが、2度目の接種用のワクチン不足はサンパウロやリオ、アラゴアス、ペルナンブコ、パライバ、アマパー、リオ・グランデ・ド・ノルテなどの各州で起きている。パライバ州では、検察局が裁判所に訴えて、ようやく2度目の接種が実現する事態も生じた。
ケイロガ氏は、新型コロナ感染症で39万人を超える死者が出ている事や、今年に入ってからの死者が昨年の死者の総計を超えた事にも言及し、事態の深刻さや効果的な対策の必要を説いた。
上議達はワクチン接種に期待していると語ったが、ケイロガ氏は「有効な対策は予防接種だけではない」とし、就任初日からマスク着用や社会的な距離の確保を強調してきた事を再確認した。
だが、ボルソナロ大統領はパンデミックの初期から、専門家や諸団体、知事達の説く対策にことごとく反対。23日はマナウス市、24日はブラジリア、26日はバイア州でマスクを着けずに支持者らと会い、3密発生を招くなどして、批判を浴びた。
パズエロ前保健相も25日にマスクを着けずにマナウス市のショッピングセンターにいたところを、地元写真家に撮られ、「どこでそのマスク買ったの?」とトボけたが、施設から警告を受けた。この二人が上院の議会調査委員会(CPI)での政府の立場を悪くすると言われている。
保健省は27日、指定日を過ぎた場合も2度目の接種を受けるように勧める文書を出している。
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★2021年4月17日《ブラジル》ボルソナロはコロナ禍悪化の世界的脅威?!=アルゼンチンで批判集会=『サイエンス』誌も厳しく指弾
★2021年4月27日《ブラジル》今年のコロナ死者が昨年1年分超える=感染共々増加ペースは鈍る=ワクチン開発費に拒否権?