「第228回聖南西地区定例会」が4月10日午前9時よりオンラインアプリズームで行われた。同会では、聖南西教育研究会(渡辺久洋会長)に加盟する日本語学校5校の教師12人や西南西文化体育連合会の山村敏明会長、同連合会の市川幸三教育部長が参加。同定例会は、災禍の中オンライン上で定期的に話すことが地区の教師の繋がりと絆を維持し強めると考慮し、本年より開催を継続している。
まずJICAの「移住者の団体に対する助成金交付事業」の詳細な説明と質疑応答が行われた。山村会長は「日本人移民約110年の歴史の中で、こんな事業は恐らく初めて。110年に一度のめったにない機会。全学校全文協に利用してほしい。災禍により生徒が減少している現在だけでなくコロナ収束後も見据えて、施設改築や新築、何十年も使い古くなった備品の買い替えなども積極的に考えてほしい」と積極利用を呼びかけた。
次に「聖南西オンライン交流会」開催について話された。同地区では、学校の枠組みを超えた生徒同士の交流を重要視しており、例年「林間学校」や「青空スポーツ教室」といった交流行事を活発に行っていたが、昨年は災禍により実施できなかった。
他校生徒との交流断絶が1年半にも及ぶことは子ども達にとって良いことではないと全教師共通の思いがあり、第一回オンライン交流会を5月8日に、第二回を6月5日に開催することが決まった。市川教育部長は「子供達が交流し、横のつながりを作ることが何よりも大事」と後押しした。
次に日語学校の現在の指導や問題点、悩みなどを学習対象年齢層別に情報共有を行った。
教師からは「オンライン授業だからといって、効果的な日本語指導ばかりに焦点を当てず、時には個別で指導している生徒を集めて日本語指導に拘らない活動をするなど、生徒の気持ちの面に焦点を当てた活動・指導も必要だと思う」「オンライン授業によって単式クラスになり指導がとてもやりやすくなった半面、授業時間編成が大変になった」「オンライン授業により教師には授業時間・準備時間が増えた。その上、様々な学校業務もあり、どのようにして頭を切り替えて両種の業務を行えばいいのか」などの活発な意見交換が行われた。
終了後、レジストロ日本語学校の吉田千鶴子教諭(二世)は「会話がすごく弾んで本当によかった」と述べ、カッポン・ボニート日本語学校の上村千代子教諭(一世)は「楽しく話すことができた。あっという間に時間が過ぎて話足りなかった」と笑顔で答えた。
オンライン授業に切り替えて1年が経つUCENS日本文化センター(ソロカバ)の長谷川美雪教諭(二世)は、「ここにいる先生達は『今いる生徒達の日本語教育をなんとかしてあげたい』という想いが強いと思う。でも、現状が現状なので、出来ることはごく限られてしまう」と十分な授業や行事を行いたくても行えない教師達の苦悩を代弁した。
さらに「私達の学校は幸い、コロナ禍前と比べ生徒数は減っていないが、学校は多分、教師一人、生徒一人がいれば始められるものなのではないかと思う。教えられる人がいて習いたい人がいる。もし不可抗力で閉校になってしまっても、教師が怠らず自分を磨いて準備を整えておけば、時間がかかれど再開することができるのではないかと思う」と教師の気持ちを維持していくことの重要性を熱く語った。
渡辺会長は、「昨年はこのような初めての状況で、どの教師も各校の生徒減少・活動停滞を少しでも抑えるべく専念することで精一杯。地区として何かを行う余裕もなく、辛抱の年だと覚悟した。今年も今のところ状況が好転する兆しはまだないが、できる活動を考え、地区としての動きを再開させ、辛抱から幾分かは攻めの姿勢に転じたい」と意欲を語った。
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