ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》コロナ禍CPI最初の供述者はマンデッタ氏=初日から質問要望が殺到=歴代保健相全員から聴取、ゲデス経済相も?

《ブラジル》コロナ禍CPI最初の供述者はマンデッタ氏=初日から質問要望が殺到=歴代保健相全員から聴取、ゲデス経済相も?

マンデッタ氏(Marcelo Casal)

 27日からはじまった上院のコロナ禍の議会調査委員会(CPI)は来週から本格化し、ルイス・エンリケ・マンデッタ氏から現職のマルセロ・ケイロガ氏までのパンデミック下の歴代保健相から事情聴取が予想されているが、聞き取り調査の対象にはパウロ・ゲデス経済相も含まれる可能性が出てきていると、27、28日付現地紙、サイトが報じている。
 コロナ禍CPIは27日に発足したばかり。CPIで聞き取りを行う人物のリストを作成するため、希望する人物の氏名や質問項目などを28日正午までに提出するようにとの要請があったため、補欠を含む計28人の委員たちの動きは早くも過熱。初日の27日だけで、173件に及ぶ要望書が提出された。そのうちの64%を占める88通は野党側の委員が提出したものだ。
 その中で最も目立ったのが、コロナ禍に対処してきたボルソナロ政権の歴代の保健相(マンデッタ氏、ネルソン・タイシ氏、エドゥアルド・パズエロ氏、マルセロ・ケイロガ氏)からの供述を求めるものだ。
 これらの要望に応えるかや、聞き取りを行う優先順位などは、CPIの全体審議にかけてはじめて決まる。委員会は火曜日と木曜日に開催され、28日は日程関連の審議となるため、聞き取りは来週から本格化する。正式な召喚リスト作成はまだだか、27日にはマンデッタ氏を最初に呼ぶことで合意が成立している。
 マンデッタ氏は現政権発足時に保健相に就任し、パンデミック初期の昨年4月まで務めた。同氏は医師資格を持ち、現場で働いたことで得た見識などからくるコロナ対策は国民の80%近くから支持を受けていたが、外出自粛策を執拗に拒んだボルソナロ氏との対立で解任された。マンデッタ氏はその後も一貫して、大統領のコロナ対策を批判し続けている。

 また、その後を継いだタイシ氏も、効用が証明されていないのに大統領が躍起になって求めた、クロロキンを新型コロナ感染症治療薬として承認することを、「医師の立場から同意できない」と拒否し続け、就任1カ月で辞任している。内部の実情をよく知る彼らからの聞き取り調査は、連邦政府にとっては手痛いものになることが予想される。
 その他で目立つのは、1月にアマゾナス州マナウスで医療崩壊が起こった際の実情や、人工呼吸器や安全具、人工呼吸器を装着する時に必要な挿管補助薬キット、酸素などの供給状態、クロロキンを含む早期治療用の医薬品の「コロナ感染症キット」の配布状況、予防接種用のワクチンや注射器などの入手状況などに関する情報や説明を求める要請書だ。
 委員の一人であるアンジェロ・コロネル上議(社会民主党・PSD)は、フェイクニュース捜査の委員長でもある立場から、ボルソナロ大統領の広報的立場で前社会通信局長(SECOM)のファビオ・ワインガルテン氏からの聞き取りも要求している。同氏は雑誌の取材に応じ、昨年起きた、連邦政府によるファイザー・ワクチン購入契約無視の疑惑に関する責任をすべて、パズエロ保健相と保健省に押し付ける発言を行い、反感を招いている。
 また、召喚を希望する人物として、パウロ・ゲデス経済相の名もあげられている。ランドルフ・ロドリゲス副委員長は、ゲデス氏が27日に開催された補足健康審議会で「中国がウイルスを発明した」とする発言を行ったことを問題視している。また、補欠委員のアレッサンドロ・ヴィエイラ上議は緊急援助金に関して、具体的な説明を求めている。
 聞き取り調査が要請された人物の中には、中国大使やロシア大使の名前も含まれているという。
 なお、政府側の委員からは、CPIの開設に先立って連邦検察庁が行った知事や市長告発に関して、告発された人物やその内容に関する資料のコピーを取り寄せるようにとの要請も出ているという。