パラー州のトメアスー移住地の農業技師、高松壽彦さん(としひこ・長崎出身)が28日午前中にトメアスー内の自宅で亡くなった。行年76歳。葬儀は29日午前自宅で行われ、同市のクアトロ・ボッカス墓地に埋葬された。
高松さんは1944年に父の仕事の関係で台湾で生まれた。長崎県大村などで育ち、三重大学農学部在学中に「日本学生海外移住連盟第7次農業部門」でパラー州サンタイザベルとトメアスーで実習。
その後、奈良県山辺高校教員、長崎県農業改良普及員などを経て、1973年に最後の移民船「日本丸」でパラー州トメアスー郡へ移住し農業(高松壽彦農場)に従事した。
自身の農業を携わる傍ら、トメアスー農業協同組合農事部に勤めた。84年には同農協理事になり、その後に常務、幹事長、教育委員長、援護協会では理事なども勤めた。
2006年にはJICA及びアマパ州のアグロフォレストリープロジェクトにも参加し、JICA専門家として森林農法普及に尽力した。
高松さんは膵臓がんを患っており、悪化したために3月から州都ベレンのアマゾニア病院に入院していた。「家に帰りたい」という本人の意思を尊重し、28日に飛行機でトメアスーの自宅に向かった。
同日、日本やサンパウロ在住の子供ともオンラインで最後の挨拶を交わし、聖書の聖句を唱和した後、現地の家族に看取られる中、安らかに息を引き取った。