4月29日に開かれた上院でのコロナ禍に関する議会調査委員会(CPI)は、報告官のレナン・カリェイロス上議(民主運動・MDB)が提出した審議計画を基に、現政権の歴代保健相の召喚日が決められた。そうした劣勢の中、連邦政府側の委員からもボルソナロ大統領がマスク無しで出歩き、密を作った記録を求める意見が出るなど、驚きの展開も起こった。4月29日、30日付現地紙、サイトが報じている。
このCPIを連邦政府やボルソナロ大統領への悪影響を減らしたい政府側だが、事態は思うように動いてはいない。
4月29日の委員会が始まる前、最高裁のリカルド・レヴァンドウスキー判事は、連邦政府側の委員たちが求めた、レナン・カリェイロス上議(民主運動・MDB)を報告官から下ろすよう求める訴えを退けた。大統領にとっては、手ごわい敵対者であるレナン氏の報告官はどうしても避けたいところだったが、これで法的に覆すことが不可能となった。
レナン氏はこの日の記者会見で、「このCPIを心配するのはウイルスの味方だけだ」と発言し、連邦政府を皮肉った。
同日は、来週の目玉となる、コロナ禍に対峙してきた歴代保健相の召喚日が具体的に決まった。
最初はルイス・エンリケ・マンデッタ氏とネルソン・タイシ氏で、4日に証言を行う。共にボルソナロ氏と対立して退任しているだけに発言内容が注目される。
5日は同CPIで最も厳しく責任が追及されると予想されるエドゥアルド・パズエロ前保健相。6日は現職のマルセロ・ケイロガ氏と、国家衛生監督庁のアントニオ・バラ・トレス理事長が召喚されている。
この日の最大の驚きは、連邦政府側の委員であるエドゥアルド・ジロン上議(ポデモス)が、大統領が2020年3月1日以降、ブラジリアの商店街や会合に出かけるためにマスク無しで出歩いて密を作った記録を求めたことだ。このような要請が出ることはレナン報告官も想定していなかった。
同CPIの政府側委員は、全11人中4人しかおらず、不利な形勢にある。ただでさえ数が少ない上に、連邦政府側は大統領擁護ための効果的なアイデアを出せずにいる。
4月30日付フォーリャ紙によると、大統領府に属するブラガ・ネット官房長官、オニキス・ロレンゾーニ大統領府総務室長官、ルイス・エドゥアルド・ラモス大統領府秘書室長官と、社会通信局(Secom)が争うように、文書類を作成、回覧しているが、反政府派を論破するために使えるような決定的な資料はいまのところ出回っていない。
また、CPI発足前に官房長官室から各省庁に配布された文書には、反政府派も考えていなかった項目が「調査されうる事柄」として記されており、野党側が利用する意向だという。