地理統計院(IBGE)が4月30日、20年12月~今年2月の失業率は14・4%で、失業者は1440万人と発表したと同日付現地サイトが報じた。
この数字は継続版の全国家庭サンプル調査(PNAD)の結果だ。失業者1440万人は12年の調査開始以来最多で、失業率は2番目に高い。
2月までの3カ月間の失業率は20年9~11月(前期)の失業率より0・3%ポイント高く、失業率だけ見ればほぼ同率だが、19年12月~20年2月(前年同期)比では2・7%ポイント高い。失業者は前期比で40万人(2・9%)増えている。
これは、職を探しているが職に就けない人を失業者として数える事で生じるマジックだ。20年12月~今年2月は、新型コロナのパンデミックで採用された緊急支援金の支給打ち切り前後で、コロナ禍で困窮していた上に支援金の支給停止で求職を始めた人が増えた結果、職を探しても職に就けない人が40万人増えた事になる。
コロナ禍での失業率最高は、支援金の支給額半減で求職者が増えた昨年7~9月の14・6%で、同年10~12月には13・9%に下がった。だが、昨年11月~今年1月は14・2%、今回は14・4%と再び増えている。1年間の失業者は16・9%、人数にして210万人増えた。
だが、コロナ禍での失職者はこの数を上回る。それは、コロナ感染症の後遺症などで働けない、寝たきりになった家族や乳幼児がいて働きに出られない、感染するのが怖くて求職を断念したなどで、求職していない人も多いからだ。求職を諦めた人は就労可能な労働人口の5・6%の600万人で過去最多。失業者と求職を諦めた人は、労働人口の20%に上る。
2月までの3カ月間を他の数字で見てみると、就労者は8590万人で前期とほぼ同じだが、前年同期比では8・3%減った。
換言すると、コロナ禍での1年間で就労者数は780万人減り、内390万人は正規雇用者だった。2月末時点の正規雇用者は前年同期比11・7%減の2970万人で、就労者の34・6%。非正規労働者は前年同期比で15・9%減った。就労可能な人口に占める就労者の割合は48・6%。前年同期は54・5%だったから、就労率は5・9%ポイント落ちている。
就労時間が不十分とか本来の能力が生かせていない不完全雇用や働けるのに求職していない労働力の不活用者は3260万人で、前年同期比で21・9%(590万人)増加。就労時間が不十分な人は690万人で、前年同期より6・3%(40万6千人)増えた。
賃金の平均は月2520レアルで20年11月までより2・5%減額。賃金総額は前年同期より7・4%減の2112億レアルだった。
1年間で減った労働者は、正規雇用者392万8千人、非正規雇用者184万8千人、家庭内労働者130万1千人、自営業者82万4千人、雇用主55万2千人。増えたのは公務員の58万4千人、家族労働者の5万7千人だ。2月までの3カ月間を前期と比べた場合に増えたのは自営業の71万6千人(総計2万3700人)のみ。それ以外の分野は減少した。
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