メーデーの1日、ボルソナロ大統領の支持者たちが全国的に同大統領支持を叫ぶデモを行った。多くの場所ではマスクも着けない人たちが密集、密着が生じた他、参加者たちが大統領の独裁を望むかのような非民主的な言動を行い、問題視されている。1、2日付現地紙、サイトが報じている。
通常、5月1日は「労働者の日」ということもあり、労働組合や労組に強い労働者党(PT)のイメージが強い。それに対し、ボルソナロ大統領の支持者たちは「毎年、赤(労働者党のイメージカラー)で埋まるところを、ブラジル国旗の愛国の色である緑と黄色で染めよう」とばかりに今回のデモを起こした。
この日、大統領支持者たちは、サンパウロ市だとパウリスタ大通り、リオ市だとコパカバーナ海岸、ブラジリアでは三権広場といった、デモで有名なところに集まった。市内の主要な大通りでは、ブラジル国旗をかかげた大統領支持者によるカレアッタ(車両デモ)も行われ、交通を妨げていた。
集まったデモ参加者はマスクをしていない人がかなり多かった上、最高裁や知事たちを攻撃する非民主的な言葉を数多く叫んだ。彼らの中でこの日もっとも使われた言葉は、「私が許可する(eu autorizo)」だ。
この表現は、全国的にパンデミックの第二波が悪化した3月末、とりわけ南大河州、連邦直轄区、バイア州が外出自粛を強化した際に、ボルソナロ大統領が夜間の外出規制を含むロックダウンは戒厳令の一種(estado de sitio)にあたり、大統領だけが宣言し得るものと主張、自分が戒厳令発動権を行使することを示唆して、知事たちを脅した際に使ったものだ。
参加者たちは、ロックダウンや、ルーラ元大統領の出馬の権利が復活したことなどに反対する思いから、知事たちや最高裁に対する攻撃的な言葉を叫び、中には「武力で独裁政権を」と叫ぶグループまであったと報じられている。
ボルソナロ氏本人もこうしたデモを支持。本人自らヘリププターに乗り、ブラジリアで行われたデモの様子を上空から見守っている。
今回のデモの背景には、上院が4月27日にコロナ禍に対する議会調査委員会(CPI)を開設し、ボルソナロ氏が苦境に立たされていることがある。だが、今回のデモで全国各地で作った密が、感染者数、死者数ともに減少していたコロナ禍を再び悪化させるのではと恐れている人もいる。
昨年もボルソナロ氏の支持者たちが反連邦議会、反最高裁を叫び、反民主主義的なデモを繰り返したことで、感染者数や死者数が増えており、今回も同様の事態が生じれば、今回のデモもCPIの調査対象になることは避けられない。
今回のデモでも、昨年3〜5月に行われ、最高裁でも捜査対象となっている反民主主義デモのときと似たような言動が見られていることから、この点でも調査対象になることも考えられる。
この日は、労組を中心とした通常の集会も行われており、悪化する失業率に対し、雇用の確保を求める声が目立った。また。ルーラ、ジウマ元大統領や、22年の大統領選出馬が予想されるシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)といった左派の大物たちが生中継で声明を出して話題となった。
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★写真グラフ=パウリスタ大通りで5千人が反自粛デモ=ザンベリ下議もサンパウロ州知事口撃
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