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■訃報■ブラジル浪曲協会元会長 樋口四郎さん

樋口四郎さん

樋口四郎さん

 「ブラジル浪曲協会」最後の会長、浪曲名人「月若(つきわか)」としてならした樋口四郎さん(福岡県)が、4月30日15時30分に聖州カンピーナス市内の自宅で亡くなった。行年85歳。1日に家族と知人のみで告別式を行い、同市内の墓地「Cemitério Parque Flamboyant」に埋葬された。偲ぶ会や49日法要などの予定は決まっていない。
 樋口さんは1935年9月29日、福岡県浮羽郡吉井町生まれ。コチア青年として移民船「ぶらじる丸」に乗って57年1月17日にサントスに単独移住した。
 移住当初はサンパウロ州ピエダーデ郡の岩下与一家でトマト作りを従事したが、風土病により病に伏しプラガンサ・パウリスタの行方(なめかた)正次郎家に移動し農業に励んだ。同家で養鶏と果樹園にて農地従事し、その後サンパウロ州食料保管センター公社(通称セアザ、Ceagesp)で仲買人を行う。
 その傍ら、67年からカンピーナス市日伯文化協会を手伝った他、ブラジル浪曲協会の活動にのめり込み、最後は会長まで務めた後、90年代に日本へデカセギに10年ほど行った。帰伯後、ペンネーム「筑紫橘郎」で自伝小説「月のかけら」を執筆し、本紙に掲載した。本紙カンピーナス代理人や営業部員としても活動していた。
 樋口さんは、以前から胃がんを患っており、昨年7月には手術を行った。その後、自宅療養していたが、体調が悪化し回復せず同日に息を引き取った。