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《ブラジル》負債抱える貧困者再び増加=緊急支援金減額や失業響く=経済活動が安定する時期は?

低所得で負債を抱える人の割合の推移(4日付G1サイトの記事の一部)

 ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)が4日、緊急支援金の支給額や受給者の減少と労働市場の状況悪化で、低所得で負債を抱えている人が急増と発表したと4日付現地サイトが報じた。
 FGVによると、ここ数カ月間は全階層で負債を抱えている人が増えたが、低所得者ほど増加が著しいという。
 4月の場合、月収2100レアル未満で負債を抱えている人は22・3%に及び、16年に記録した負債率に並んだ。負債を抱えている人の割合は月収が上がるほど減り、月収が2100~4800レアルだと14・2%、4800~9600レアルだと6・3%、9600レアル以上では3・9%のみだ。
 昨年の緊急支援金支給額は600レアル(家計を支える女性には1200レアル)で、複数の受給者がいた家庭もあったが、昨年9~12月は支給額が半減された。今年は支給開始が4月まで遅れた上、支給額も150~375レアルで、受給者も一家に1人だ。
 この差は、昨年は緊急支援金に3千億レアルが投じられたのに、今年は440億レアルという上限が設けられている事などで生じている。
 他方、負債を抱えている人の増加は、パンデミックの長期化や失業者の増加とも関係がある。
 サンパウロ市パライゾポリスに住むライラネ・サンタナ氏(32)は失業状態が1年半続き、子供誕生に伴う買い物などで生じた負債が二つの銀行で2万レアルに達している。彼女の夫は製陶工場で働いているが、彼の月収2千レアルのみでは負債を返済できずにいる。4月からの緊急支援金の支給再開で、ライラネ氏も必要なものを買い足せたが、負債の返済は仕事を見つけてからだという。

 だが、地理統計院(IBGE)によると、2月までの3カ月間の失業率は14・4%、失業者は1440万人で、小さな子供を抱えた女性が就業するのは容易ではない。
 昨年来のパンデミックで失業率が高まった事は繰り返し報じられている。これは社会階層にも変化を生じさせており、11年は54%だった中流階級は、20年が51%、21年は47%に減少。その反面、低所得者層は11年の38%が20年43%、21年47%と増えている。
 低所得者で負債を抱える人の増加は低所得者層が増えている中で起きているから、実数の増加はより大きい。3カ月以上支払いや返済が遅れる債務不履行者は成人人口の57・4%の6250万人ともされている。
 新型コロナの感染第2波で強化された外出規制は徐々に緩和されているが、この事は、経済活動が安定した状態に戻るか否かは、今後の感染状況に左右される事も意味する。「開けたり閉めたりする状態が続く限り、安定した活動は困難」との見方は経済界に共通している。だが、安定成長に不可欠な予防接種の普及は思うように進んでいない。
 しかも、不正なイベントやデモなど、密や感染拡大を生じさせるような出来事が繰り返されていると、感染者や死者がいったんは減少に向かっても、結局は高止まりしたまま長引かせる可能性が残り、終息はますます遠のく。

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