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サンタクルス病院奇跡的回復遂げた患者の実話=一時は80%も肺機能喪失=足立医師「日頃の体力維持が重要」

足立カルロス医師

足立カルロス医師

 昨年3月以降、サンタクルス病院(佐藤マリオ理事長)が1年間で記録した新型コロナウイルスによる入院者数は964人、その内134人が命を失った。今年3月には、パンデミック以降で最多の1日140人の救急患者を記録した。同病院に30年以上勤務し、現在はクリニカルディレクターを務める足立カルロス医師(66歳、ロンドリーナ生まれ、脳神経外科医)に、新型コロナウイルス治療の現場で死線をさまよった後、無事に回復を果たした1人の患者の話を聞いた。


 4月はじめ、足立医師は新型コロナウイルスの変異株に感染したAさん(46歳)の治療を担当することになった。感染経路は、義母宅に勤務する家政婦からで、義母やAさんの妻、2歳と12歳の娘、そしてAさんも感染した。
 Aさんが来院した時は、呼吸困難と38度の発熱、倦怠感の症状が見られた。国際的に統一された治療法に準じ、抗凝固薬と抗生物質、酸素吸入を行って対処したが、初診から4日後にはさらに症状が悪化し、即時UTIでの治療となった。
 入院時には肺機能が80%も停止した状態で、人工呼吸器が装着された。医療チームによる24時間体制の治療の結果、2週間後には症状が改善し、一般病室に移った。1か月以上の入院生活となったAさんは、肺の筋力を取り戻すリハビリを行いながら退院する日を待っている。
 「昨年まではUTIでの治療も含めて平均2週間ほどで退院できました。しかし、今年に入ってから猛威をふるい始めた変異株の新型コロナウイルスは、以前にはなかった脳炎も発症することがあり、通常の入院日数を延長して慎重に経過を観察しています」と足立医師は語る。
 新型コロナウイルスは、肥満、糖尿病、高血圧、喫煙者だと死亡リスクが高まる。Aさんは日頃から剣道や柔道を行っており、身体を鍛えていた。Aさんと剣道仲間でもある足立医師は、「剣道は身体もメンタルも鍛えます。それもAさんの奇跡の回復につながったと思います」と、外出自粛中であっても体操や歩きなどで身体を動かして体力維持を図ることを推奨する。
 足立医師自身も昨年9月、最初は軽い頭痛に始まり、3日後には発熱、咳、倦怠感に襲われ、PCR検査を受けると新型コロナウイルスの陽性反応が出た。CTスキャンで診断すると、70%の肺機能が衰えている状態だった。緊急入院してUTIで5日間の治療を受け、1カ月ほどで無事に回復することができた。
 「新型コロナウイルスによる症状は短時間で悪化します。体調に異変を感じたら早い段階で治療を受けるのが回復するために大切です」と、足立医師は呼びかけた。