サンパウロ州政府が8日、新型コロナ対策としての外出規制を「移行レベル」のまま2週間据え置くが、商店などの営業時間は延長すると発表したと同日付伯字サイトが報じた。
移行レベルの据え置きは、直近7日間の死者の平均値や新規の入院患者数の平均値が期待したほど下がらず、高止まりしている事などが原因だ。入院患者数は4月末に一時的な増加も見られた。
州政府は、集中治療室の占有率が75%を超えている地区が多く、従来通りの基準ならば、州内の17地区の内、14地区は赤レベルのままだとした上で、商業活動などを再開できるようにと考えて移行レベルを採用した事を強調。社会的な距離の確保やマスクの着用、手指の洗浄や消毒を継続し、気を許さないように呼び掛けた。
8日以降は移行レベルを保ちつつ、外出基準をさらに緩和。レストランや一般商店、映画館や劇場、理容室や美容室、スポーツジムの営業時間は6~21時、入場できる人数も30%に拡大される。公園の開園時間は6~18時、入場者は25%までとなっており、宗教施設などで信者が集まって集会を開く事も認められている。
移行レベルは、赤レベルとオレンジレベルの中間と位置付けられているが、商店などの営業時間は6~21時の15時間で、6~20時の8時間のオレンジレベルや6~22時の10時間の黄レベルよりもある意味で緩い。ただし、入場できる人数はオレンジ、黄レベルの40%よりも厳しくなっている。
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サンパウロ州が発表したところによると、3月に「密を作っているところがある」と、同件での苦情受付専門ダイヤル0800に届いた電話の件数は5万5416件に上ったという。2月には4332件だったというから、10倍以上に増えたことになる。夜間外出禁止令が出されたのは3月12日なので、感染が増えていることなどを懸念し、規則を破る人について報告しようとする意識が高まったことも影響したと思われるが、それにしても増えすぎでは。サンパウロ市などがフェリアドンやロックダウンを行った結果、市民に危機感が生じたからなのか、4月は2万4201件と、半数以下となっている。4~5月は徐々に規制緩和が進んでいるが、くれぐれも気は緩めないでほしいところだ。
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6日からサンパウロ州内で60〜62歳へのコロナワクチンの接種がはじまり、サンパウロ市内では、保健機関によっては、5時間も続く長蛇の列ができたという。こうした問題は市内で20カ所のドライブスルー接種場ができて緩和されたような印象もあったが、ドライブスルー会場には人気のファイザー製薬のワクチンがないことや、年齢層に幅があり、人数が多いことからこのような事態になっていると推測される。州としては予想外の展開かもしれないが、接種の円滑化は必須。対策が必要では。