ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》エスタード紙報道 30億レの巨額不正疑惑浮上!=政府の議会工作秘密資金か=早くも「ボルソロン」命名=大スキャンダルに発展?

《ブラジル》エスタード紙報道 30億レの巨額不正疑惑浮上!=政府の議会工作秘密資金か=早くも「ボルソロン」命名=大スキャンダルに発展?

アルコルンブレ前上院議長(Marcelo Camargo)

 ボウソナロ大統領が、連邦議会での農業部門の支持をとりつけるために30億レアルの公金を非公式に使用していた疑惑が浮上。前上院議長や中道勢力「セントロン」の大物、現大統領府秘書室長官などを巻き込んだこの疑惑は「ボルソロン」または「トラトラッソ」(トラクターを大量購入した疑惑)の名で呼ばれ、早くも次の大きなスキャンダルになりそうな様相を見せている。9日付エスタード紙などが報じている。
 この疑惑は9日付のエスタード紙の報道で明らかになった。それによると、ボルソナロ大統領は連邦議会での支援取り付けと引き換えに、2020年の年末、公式に認められているものとは別に、連邦議員たちへの手当を秘密裏に支払っていたという。この手当は議員割当金を悪用したもので、その総額は30億レアルにも及ぶもので、地域開発省を通じて支払われていたという。
 30億レアルに及ぶ並行予算は、農業部門の上議、下議たちに対して発行した101通の文書で確認された。そのほとんど、少なくとも2億7180万レアル分がトラクターや農業器具の購入に使われたという。購入額は水増しされており、最大で、通常認められる額の259%増に及んでいた。
 たとえば、前上院議長のダヴィ・アルコルンブレ上議(民主党・DEM)が指示した地域開発省絡みのプロジェクトに、2億7700万レアルの巨額の資金がつぎ込まれている。年間の議員割当金は800万レアルが上限だから、この額は同上議が34年間かけて利用できる議員割当金額に相当する。

 このほか、「セントロン」の最大政党、進歩党(PP)党首でもあるシロ・ノゲイラ上議に1億3500万レアル、上院の連邦政府リーダーのフェルナンド・ベゼーラ上議(民主運動・MDB)に1億2500万レアル、アルトゥール・リラ下院議長(PP)に1億1400万レアルと、連邦議会の主要な人物に多額の支払いが集中している。
 アルコルンブレ上議の場合、地域開発省絡みのプロジェクトのうち、3割ほどを占める8100万レアルが、サンフランシスコ川とパルナイーバ川の流域の開発公社(Codevasf)に向けられている。同公社は、同上議ら、セントロンの政治家たちが事実上コントロールしていると言われる。
 また、同上議は出身州のアマパー州から遠く離れたパラナ州向けに2台のトラクターを1千万レアルで購入している。トラクター1台の相場価格(または通常のプロジェクトで認められる単価)は200万レアルで、かなりの矛盾があるが、連邦政府は何も問題にせずに支払っている。
 3月末から大統領府秘書室長官となった、フラヴィア・アルーダ下議(当時、自由党・PL)も、Codevasfの名前を使って地域開発省から500万レアルの払い出しを受けている。PLからはヴィセンチーニョ・ジュニオル下議もCodevasf向けの農業器具購買の名目で60万レアルの支払いを受けている。
 このほか、ルシオ・モスキーニ下議(MDB)、連帯(SD)のオタッシ・ナシメント、ボスコ・サライヴァ両下議、ロドリゴ・クーニャ下議(民主社会党・PSDB)らも、議員割当金の名目で水増し請求を行い、不正な形で公費を受け取った疑惑が持たれている。
 連邦政府による連邦議会からの支持取り付けを目的としたスキャンダルでは、2005年の労働者党(PT)時代のメンサロン事件が有名だが、今回の件はそれにちなみ、早くも「ボルソロン」と呼ばれ始めている。