ホーム | 日系社会ニュース | 北伯日本語普及センター解散=「支援頂いたのに申し訳ない」=学校減少にコロナ禍追い打ち

北伯日本語普及センター解散=「支援頂いたのに申し訳ない」=学校減少にコロナ禍追い打ち

前列左から2人目が越知理事長。今年1月4日に開催された第8回北伯日本語教師養成講座の記念写真(北伯日本語普及センター提供)

前列左から2人目が越知理事長。今年1月4日に開催された第8回北伯日本語教師養成講座の記念写真(北伯日本語普及センター提供)

 「センターを続け、私立校でも公立校でも通用するような日本語教師の育成をしていきたかった」――本紙の電話取材に対し、北伯日本語普及センターの越知恭子理事長は、センター解散についてそう無念そうに語った。4月30日に解散の是非を問う総会を開催。参加者15人中14人の賛成で決定した。5月5日に関係各所へ解散通知書が送られた。


 同センターでは年々、傘下の学校や会員が減少していた。2010年には日本語学校16校があったが、14年には9校、20年には7校、今年は6校になっていた。日本語教師が入会する個人会員も過去は75人いたが、最終的に15人まで減っていた。
 生徒数減少もあり、会費を理由に入会しない教師も少なくない。越知理事長が経営する越知日伯学園でも、「日本語教師15人中、入会者は7~8人。他校も大体2人から1人」と話す。
 このような会費減少により3~4年前からセンターの運営費捻出が厳しくなってきていた。事務員の通勤日数を減らすなどで支出の節約し、日本語祭り開催で得た収入などで辛うじてまかなってきた。
 「日本語祭りでは各学校の協力分担で料理を作るほか、経費を可能な限り減らして収入を得ることができていました」。でも昨年はパンデミックのため、それが開催できず財政面で追打ちを掛けられ、維持が不可能になった。

北部エリアの日本語教育機関で活動したJICA専門家の帰国報告会の様子(2019年7月4日のJICAブラジル事務所フェイスブックより)

北部エリアの日本語教育機関で活動したJICA専門家の帰国報告会の様子(2019年7月4日のJICAブラジル事務所フェイスブックより)

 日本政府やJICAからの援助はあったが、JICAの研修助成も年々予算自体が減少していった。
 越知理事長は「日系社会もそろそろ自立し、自ら生き残るために真剣に努力すべき時期に来ている」と感じている。時代の変化についても「現代は教科書や練習問題がインターネットで検索できる。時代の流れと共に日本語教育の有り方が変わった」との見解を示した。
 続けて「新型コロナウイルスのパンデミックでオンライン授業が求められるようになっている」と説明。現在オンラインを活用して授業が継続出来ている学校は同センター6校中3校のみ。
 オンライン授業ができない学校の問題は様々だ。JICAからオンライン授業のための機材整備への支援もあったが、教師側の技術面や、生徒の人数が減ってしまった問題などがあるという。
 今後は「残った学校同士が協力し合い、手助けしていく。日本語や日本文化の普及、日伯友好の為に今後も努力していきたい」と語った。
 さらに「様々なご支援も頂いていたのに解散となり、役員ともども申し訳なく思います」改めて解散について述べ、パンデミックが終わって「日本語教育の機運が再び盛り上がって来たら、日本語教育研究会といった形で再開したいです」と前向きな姿勢を見せた。

コロナ禍前に開催していた日本語祭り。