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《ブラジル》コロナ禍CPIでパズエロ氏沈黙破る=事実と食い違う証言続出=大統領を終始擁護も=マナウスの件で上議ら反発

19日のパズエロ氏(手前)(Edison Rodrgues)

 19日、上院でのコロナ禍議会調査委員会(CPI)でエドゥアルド・パズエロ前保健相が証言を行った。今回のCPIの発端ともいえるアマゾナス州マナウスでの医療崩壊の責任を問われている張本人ということもあり、パズエロ氏の証言には最大の注目が集まった。19日付現地サイトが報じている。
 パズエロ氏は保健部門の経験のない軍人であるため、在任中から「ボルソナロ大統領との個人的な関係だけで起用された」と批判されていたが、この日のCPIにも大統領長男フラヴィオ上議を伴って入場し、出だしから話題を浴びた。
 パズエロ氏は先週、最高裁に黙秘権を求め、認められていたが、予想されていた以上には話した。同氏は、大統領との関係について「80年代に趣味のパラグライダーを通じて知りあった」と語っている。
 パズエロ氏は続けて、保健相時代の業務について語りはじめた。同氏によると、連邦政府としてコロナ対策に取り組もうとしたが、「最高裁の介入で思うようにできなかった」と大統領が主張する理屈どおりに語った。
 「外出自粛は常に訴えかけていた」「ワクチンを買うのにも積極的だった」と語った。さらに、これまでCPIで複数の証言があがっていた「影のコロナ委員会」の存在は否定した。だが「大統領には閣外に相談する人物は存在した」といい、その例として企業家のカルロス・ウィザルジ氏の名をあげた。ウィザルジ氏は英会話やレストラン・チェーンの経営で有名な人物で医療関係者ではないが、パズエロ氏は同氏がコロナ対策会議に参加したことを認めた。

 パズエロ氏はまた、大統領次男のカルロス氏について「会議で見かけたことはない」としたが、「会って話すのは好きだった」とも語っている。
 パズエロ氏はさらに、クロロキンやファイザー製薬のワクチンの購買などについても、「大統領から判断に関して命令を受けたことはなかった」と語ったが、ここには疑問を残した。
 パズエロ氏が保健相だった時はクロロキンが大量に購買され、流通されているが、同氏は「連邦医薬委員会のすすめに従ったまでだ」とし、自身の判断ではないと主張。さらに「誰がクロロキンを作るように命じたかは知らない」と言った。だが、昨年10月、パズエロ氏はボルソナロ大統領と2人で行った録画の中でクロロキンを推奨し、「命令があれば受けるだけ」と大統領に従順であることを語っている。
 さらに、ファイザー製薬のワクチンの契約の遅れに関しては、「昨年の9月から10月にかけてずっと検討し、ファイザーとも密に連絡をとっていた」と語り、ファビオ・ワインガルテン元社会通信局長の主張する「保健省が無能だった」説を否定した。大統領にもその都度連絡を行っていたとした。
 また、マナウスでの医療崩壊に関しても、「(酸素が不足する可能性について)連絡を受けたのは(崩壊前日の)1月10日だった」と語り、保健省の公式の記録の1月8日であることと食い違う証言を行った。さらに、「酸素が足りなかったのは3日間だけだった」と語ったため、アマゾナス州選出のエドゥアルド・ブラガ上議から「酸素不足は20日間以上続いた」「州民たちは死者の数が日々増えていくのを絶望的な思いで見ていた」と強い反発を受けた。
 パズエロ前保健相はそれ以外にも、アマゾナス州での死者のピークその他、多くの点で実際とは異なる発言を行った。また、他の召喚者の証言や政府の公的機関が提供した情報と食い違う証言を行い、その都度、反論される姿が見られた。

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