ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》パズエロ前保健相「大統領が不干渉決めた」=マナウス医療崩壊の政府対応=アマゾナス州と企業に責任転嫁=証言2日目も矛盾や珍説

《ブラジル》パズエロ前保健相「大統領が不干渉決めた」=マナウス医療崩壊の政府対応=アマゾナス州と企業に責任転嫁=証言2日目も矛盾や珍説

20日のパズエロ氏(左)(Edilson Rodrigues)

 20日、上院でのコロナ禍に関する議会調査委員会(CPI)で、エドゥアルド・パズエロ前保健相が前日に続いて証言を行った。パズエロ氏はこの日の証言で、アマゾナス州マナウスでの医療崩壊に関しては、閣僚会議が開かれ、ボルソナロ大統領が「連邦政府は援助を行わない」と判断したことを認めた。パズエロ氏は同市での医療崩壊はアマゾナス州と酸素供給企業のせいともしている。20日付現地紙サイトが報じている。
 前日19日には、事実と異なる供述や、他の証言者の発言内容と食い違う主張が繰り返され、上議からの反発を招いた。最も話題を呼んだのは、保健省元副大臣エウシオ・フランコ氏が、3月に下院に送った書面との食い違いだった。この書面はジョゼ・リカルド下議(労働者党・PT)からの質問に答える形で、3月16日に下院に届いていた。
 パズエロ氏は19日に、「マナウスの医療崩壊危機は1月10日に知った」と語った。だがフランコ氏の書面によると、「アマゾナス州保健局のマルセロ・カンペーロ局長が1月7日にパズエロ氏に電話をかけてきて、酸素が足りないのでベレン市にある350本の酸素ボンベをマナウス市に送ってほしいと直接頼んだ」という。パズエロ氏はCPIで反論され、1月7日にカンペーロ氏と会話をしたことを認めたが、「医療崩壊の話はしなかった」としらを切った。
 フランコ氏の書面では、1月9日の午前中に統一医療保健システム(SUS)の治安部隊員が送ってきた保健省緊急対応センターへの日報でも、「8日の会議で医療崩壊が起き、病院での酸素不足が起きていることが明らかにされ、会議の重点はそのことに移った」との報告があったと述べている。

 パズエロ氏は20日には、エドゥアルド・ブラガ上議(民主運動・MDB)から、「なぜ連邦政府はアマゾナス州に介入しなかったのか」との質問を受け、「それを決めたのは自分ではない」と答えた。そして「それはボルソナロ大統領も参加した閣僚会議で決まったことで、大統領が決めた」と語った。この件はパズエロ氏や大統領がマナウス医療崩壊の危機を事前に知っていた疑惑を深めさせた。これは、パズエロ氏はボルソナロ大統領をコロナ禍の問題に関連付けた最初の瞬間でもあった。
 だがその際、パズエロ氏は「アマゾナス州のウィルソン・リマ知事から話を聞いた末に援助はいらないとの判断になった」として、責任をリマ知事に転嫁した。
 パズエロ氏はマナウスでの酸素不足に関しても、「酸素の供給会社であるホワイト・マーティンズの責任だ」と押し付けた。
 マナウスでの医療崩壊以前に出回っていた保健省のアプリ「TrateCov」への関与も否定した。このアプリでは、ボルソナロ大統領が推奨しながらも科学的な効用の証明がないクロロキンが妊婦や子供にまで効果があるなどの情報を流していた。パズエロ氏はこのアプリの記述に関し、「ハッカーの仕業だ」との自説を展開した。
 パズエロ氏はさらに、昨年12月に行った、世界保健機関(WHO)傘下の「コバックス・ファシリティ」へのワクチンの申し込みに関して、国民の50%をカバーする量でなく、わずか10%しか網羅できない量を申し込んだことについても、「大統領府(官房長官)が交渉を担当した」と答えた。エルネスト・アラウージョ外相は18日に同件について質問され、「保健省が交渉した」と責任をなすりつけていた。