《ブラジル》下院がエレトロブラス民営化の暫定令承認=現政権の公社民営化の目玉=上院の承認期限は6月22日

下院が19日、エレトロブラス民営化のための暫定令(MP1031/21)を313対166で承認と19~20日付現地サイトが報じた。
エレトロブラスは国内で供給される電力の3分の1を担っており、現政権が掲げる公社民営化の目玉だ。2月23日付官報に掲載されたMPの法令化には上下両院での承認が必要で、今後は上院で審議される事になる。
エレトロブラスの株式の60%は国が所有しており、経営権も国にある。民営化後の国の所有株式は40%になるが、これらの株式は「ゴールデンシェア」と呼ばれる特別優先株で、定款に関する審議では拒否権が使える。
また、民営化後も個人やグループの株主に認められる株式所有率は最大で10%だから、国が最大株主である点は変わらない。残りの株式は公開売却される。
当初は「民営化のための条件」として、入札前に遂行されなければならないとされていた項目も複数あるが、MPの有効期間である6月22日までに上院でも承認を得るための事前協議の中で遂行不能と判断され、「国が順守すべき項目」と言い換えられた。
国が順守すべき項目の一つは、天然ガスを使った火力発電による電力の6千メガワットの予備契約だ。1千メガワットは北東部、5千メガワットは北部と中西部に供給される。
また、小型水力発電所(PCH)向け市場を創出し、次回のエネルギー関連の入札の際は50%(最大2千メガワット)以上を同市場に振り向ける事、代替電気エネルギー源のためのインセンティヴ・プログラムの契約を20年間延長する事も含まれている。
報告官のエルマル・ナシメント下議(民主党)は、全ての変更は電気料金を安くするために行われるとし、天然ガスの5倍の経費がかかる重油などを使う火力発電所は、環境により優しく、持続可能なものに替えようとしているとも語った。
ナシメント下議によると、イタイプ水力発電所や原子力発電所(エレトロヌクレアル)はエレトロブラスの民営化前に創設する新電力公社の傘下に移される。政府側は新公社の余剰金の25%は所得移転プログラムに組み込む意向だという。
だが、同分野の専門家達は下院が承認したMPの内容に沿って民営化を行えば電気料金は高くなると警告している。
一例は、ブラジル大口電力消費者・電力自由市場協会(Abrace)で、一般消費者向けの電力は10%、生産部門向けの電力は20%値上がりすると見ている。
26の電気関連の協会からなる電気セクター協会フォーラム(Fase)も、短・中・長期的に見た発電経費は上昇するとして、MPを慎重に再評価する事を求める声明を出している。
MPの審議と投票は18日の予定だったが、意見書の提示が遅れた事などで投票は19日に延期された。野党側は意見書の内容や提示の遅れなどを不服とし、最高裁に投票延期も訴えたが、ルイス・バロゾ判事が訴えを退けたため、19日の投票、可決となった。
★2017年8月23日ブラジル政府=電力公社エレトロブラスの民営化発表=株式指数は6年以上なかった高値に=株式売却で財政を健全化?=電気代値下げの可能性も
★2018年2月6日《ブラジル》電力公社エレトロブラスの民営化を差し止めていた地裁の判決覆る=「政府の暫定令を覆せるのは最高裁だけ」と最高裁判事
★2019年11月7日《ブラジル政府》電力公社の民営化法案提出=政府の持ち株比率は4割のみに
★2021年2月25日《ブラジル》大統領が電力公社民営化の暫定令提出=ペトロブラス問題の最中に