コロナ禍の中、感染すると重症化するリスクのある妊婦はテレワークとするよう定めた法令が13日に発効となった。これによって、会社での勤務を強いられている妊婦や、テレワークに切り替えられず、解雇を申し渡された妊婦は、労働裁判所に訴える事ができると13、20日付G1サイトなどが報じた。
妊婦はテレワークに切り替え、給与カットなどは認めない事を定めた法令は昨年、下院を通過。上院での承認は4月15日で、12日に大統領が裁可。13日付連邦官報掲載と同時に発効した。
この法令はパンデミックによる緊急事態が続く間有効で、妊婦がいる企業はその勤務形態を在宅勤務を含むテレワークとしなければならない。
法令草案者は下議のペルペトゥア・アルメイダ氏、報告官は上議のニルダ・ゴンディン氏だ。ゴンディン氏は法案審議の際、コロナ禍の中で労働者が直面する最大のリスクはコロナウイルスへの感染で、重症化すれば胎児にも悪影響が及び得る妊婦には特別な注意が必要だと説いた。ブラジルでは重症化したり死亡したりする妊婦が多く、寡夫となる人や母を失った子供が増えている。
法令では、妊婦と胎児の健康を守るため、妊婦はテレワークとする事、勤務形態が変わっても給与などは変更してはならない事、必要ならば勤務形態切り替えるためのトレーニングなどを行う事などに言及。テレワークに切り替えられない仕事をしている人やテレワーク用の機材を持たない人が損害を被らないよう、配慮する必要もある。
テレワーク用の機材を持たない場合は、企業側が機材の入手やメインテナンス、貸し出しの責任を負う。テレワークに必要なインフラや業務のための経費の支払い(払い戻し)も、企業側の責任の一部だ。これらの事柄は契約書に明記する必要があり、給与とは別に支給しなければならない。
企業側は、妊娠判明から出産後5カ月までは妊婦を解雇する事はできないため、テレワークに切り替える事ができない場合は、時短と減給、一時帰休を定めた暫定令1045号や、超過勤務分を振り当てて休みとするバンコ・ダ・オーラの利用も選択肢の一つとなる。
ただし、暫定令1045号を適用した場合は仕事を離れなければならなくなったりする上、その間の給与がもらえなくなる可能性があるので、雇用主と雇用者の双方でどの方策をとるかを慎重に話し合う必要がある。企業側が新法令に従わない場合、妊婦は労働裁判所に訴える事ができる。
なお、保健省は4月に妊婦を優先接種の対象とする方針を発表したが、現在は、高血圧や心臓疾患、糖尿病などの慢性病のある妊婦だけが接種対象となっている。
ブラジルでは、35歳の妊婦がオックスフォード・ワクチン接種後に脳血管障害で死亡する事件が起き、因果関係を調査中のため、慢性病のある妊婦へのコロナワクチンの予防接種はファイザー社製ワクチンかコロナバックに限定されている。オックスフォード・ワクチンの接種を受けた妊婦は、2度目の接種は出産後の産褥期が終わってから受けるよう勧められている。
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