ブラジル国内ニュース

《ブラジル》コロナ禍CPI レナン「パズエロ15回嘘ついた」=委員長「大統領は嘘つきだ」=ファイザーのメールは10度無視=来週注目はクロロキン女隊長

19日のパズエロ氏(Jefferson Rudy)

 上院でのコロナ禍議会調査委員会(CPI)は今週、最大の焦点であるエドゥアルド・パズエロ前保健相を19、20日に召喚。前保健相は、アマゾナス州マナウスでの医療崩壊やワクチン接種開始の遅れを招いた人物として、上議たちから痛烈な批判を浴びた。CPIの委員たちはパズエロ氏の証言を不審視しており、早速、新たな疑惑も生じている。20、21日付現地紙、サイトが報じている。
 20日のCPI終了後、報告官のレナン・カリェイロス上議(民主運動・MDB)はパズエロ氏に関して、「15点に関して虚偽の発言を行った」と指摘。虚偽発言は、クロロキンやワクチンの購入、いったんは購入する意向を表明したコロナバックの購入中止、クロロキンなどを使った早期治療を推薦する保健省のアプリ「TrateCov」、マナウスに派遣された医師らによるクロロキンの積極使用などに及んでいる。
 レナン氏は「前任の2人(ルイス・エンリケ・マンデッタ氏、ネルソン・タイシ氏)は大統領からクロロキンを承認するよう圧力がかかったと証言したのに、パズエロ氏には圧力がかからなかったことなどありえない」といぶかっている。
 レナン氏は、マンデッタ元保健相をはじめ、複数の人物が証言した「影の委員会」を特に問題視し、「この委員会が大統領にパンデミックに関する指図を出していたのだろう」と推測する。

 また、オマール・アジス委員長も20日、ヴァロール紙の取材に応え、「今、報告書を作成するなら、ワクチンの支給が遅れたのはパズエロ氏の責任で、ボルソナロ大統領は嘘つきだ、と書く」と語った。同委員長は付け加えて「嘘をつくだけなら、罰せられない」とも語っている。
 他方、CPIでは新たな事実も判明している。20日付フォーリャ紙サイトによると、ファイザー製薬がCPIに提出した資料には、同社が20年8月14日から9月12日にかけて、同社のワクチン提供に関するメールを10通も送っていたにも関わらず、返答なしで無視され続けていたことが記されている。8月14日のメールでは、3千万回分、7千万回分の2パターンの条件を提示し、同月29日までに返答が欲しいと記してあったという。
 同社南米支社長のカルロス・ムリーロ氏は、13日にCPIで証言を行った際、同じ期間に少なくとも3回連絡を取ったと語っていたが、実際にはそれ以上に連絡が繰り返されていたことになる。同氏は、連邦政府がこれらのメールへの返事を送ってきたのは11月に入ってからだったと語った。この返答に関しては、大統領府社会通信局元局長のファビオ・ワインガルテン氏も認めている。
 これに対してパズエロ氏は、「連邦政府内では9月と10月に同ワクチンについて絶えず話し合っていた」「ファイザー側には昨年だけで20回連絡した」と語っていた。
 来週のCPIで注目されるのは、保健省のマイラ・ピニェイロ氏の証言だ。同氏はTrateCovの管理責任者で、熱烈にクロロキン推奨につとめ、「クロロキン女隊長(カピタン・クロロキナ)」とまで呼ばれている。

★2021年5月20日《ブラジル》コロナ禍CPIでパズエロ氏沈黙破る=事実と食い違う証言続出=大統領を終始擁護も=マナウスの件で上議ら反発

★2021年5月19日《ブラジル》コロナ禍CPIで前外相「中国批判してない」=「嘘つき」上議ら一斉反論=委員長「真実話せ!」警告=クロロキンの件は認める

★2021年5月15日《ブラジル》コロナ禍CPI=政府は3カ月ワクチン交渉放置、拒絶=ファイザー南米支社長認める=本格接種開始遅れの原因に=交渉の席には大統領次男も

こちらの記事もどうぞ

Back to top button