【既報関連】マラニョン州に寄港した外国船籍の船の乗組員がインド株のコロナウイルス感染症に罹っている事や濃厚接触者が約100人いる事が判明と同州保健局が発表して以来、インド株のウイルス蔓延を避けるための対策が強化されていると20~24日付現地サイトが報じた。
インド株B1.617の出現は昨年10月に確認され、インド国内での感染拡大を引き起こしたが、宗教的な行事がある事などからロックダウン採用を嫌い、密が生じる状態を許した事や、予防接種の遅れで感染再燃が起きた。
同国の感染再燃は医療崩壊による感染爆発に進み、ここ2週間で5万7千人以上が死亡。19日には24時間の死者が4529人となり、1月12日に米国が記録した死者数の新記録を更新。24日には4454人が新たに死亡し、総計が30万人を超えた。
死者が30万人を超えているのは米国の58万9千人とブラジルの44万9千人のみだ。感染者は米国の2210万人に次ぐ2670万人で、ブラジルの1600万人やフランスの590万人を大幅に上回る。インド株は感染力が強く、致死率も高いといわれ、変異株もB1.617.1~3までが確認されている。
公的集計での同国の致死率は1%強だが、自宅で亡くなる人や病院の空き待ちで亡くなる人も多く、実際の死者は数倍でブラジル以上とも見られている。
宗教的なイベントなどで密発生を赦した事や社会隔離率の低さ、予防接種の遅れなどで感染者や死者が増え続けている点はブラジルも同様だ。ブラジルは今月に入ってやっとインド株の流入を防ぐ手段を講じたが、20日には、14日にマラニョン州に到着した船の乗組員6人のインド株感染が判明。船は沖に停泊中で、軽症患者は投薬後に船に戻ったが、サンルイス市の病院に入院中の1人は重症化。21日からは人工呼吸器につながれている。
ケイロガ保健相は現状を重視し、23日に検査キット60万回分をマラニョン州に持参。サンルイス市の市長や保健局長からの要請で、通常の配布量に上乗せし、コロナワクチン300万回分を送付すると発表した。
マラニョン州での患者確認と前後して発表された、パラー州在住の濃厚接触者2人と、セアラー州在住でインド帰りの男性2人も、各州保健局が経過を観察中だ。ケイロガ保健相は22日に、「ブラジルではインド株の市中感染は起きていない」としている。
他方、リオ州のカンポス・ドス・ゴイタカゼス市では、インドで働いていて21日に帰国した男性がグアルーリョス空港で受けた検査でコロナ感染が確認されたとして、ウイルスの型が判明するまで、隔離、観察状態に置かれている。
サンパウロ市やグアルーリョス市は22日、インド株の蔓延を防ぐため、マラニョン州からの航空便の旅行者にはコロナに感染していない事を証明する書類提出を義務付ける事などを保健相に要請。高速道路や港経由の旅行者に対してもPCR検査を要請する姿勢を見せた。
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