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クリチバ=平上文雄氏に在外公館長表彰=「リンゴ生産は伯国への恩返し」

左から、クリスチアノ・アリオリ・SC州農牧拡張研究公社所長、梅宮サンジョアキン文化体育協会会長、平上氏、同夫人、高木総領事、ヌーネス市長(撮影のためマスクを外した写真)

左から、クリスチアノ・アリオリ・SC州農牧拡張研究公社所長、梅宮サンジョアキン文化体育協会会長、平上氏、同夫人、高木総領事、ヌーネス市長(撮影のためマスクを外した写真)

 在クリチバ日本国総領事館(高木昌弘総領事)は4月26日、サンタカタリーナ州サンジョアキン市でヒラガミ・コメシアル社代表、伯リンゴ生産者協会社会部長を務める平上文雄氏(和歌山県出身)に対し、令和3(2021)年度在外公館長表彰を授与した。
 表彰式はサンジョアキン市内で行われ、平上氏と高木総領事のほか、サンジョアキン文化体育協会梅宮マコト会長や、ジョヴァンニ・ヌーネス市長も出席して、表彰を祝した。平上さんは「45年に及ぶリンゴ生産活動を評価頂いたと受け止めており、非常に嬉しい。支えてくれた妻にも深く感謝したい」と喜んだ。
 平上氏は1958年に母、兄妹と共に渡伯。最初は北パラナのウライに入っていた。13歳ごろ聖州ボツカツに移ってから桃栽培に携わり果物栽培に興味を持ち始めた。
 同氏が25歳頃、他移住者と共にリンゴ生産に向いた土地を探すためサンタカタリーナ州を探しまわった。その中で「当時の同市市長がジープを快く貸し出してくれた」事を振り返る。

平上氏と高木総領事

平上氏と高木総領事

 「リンゴ生産はブラジルへの恩返し。日本人入植者を信用し、温かく迎え入れてくれたブラジルに深く感謝して、死ぬまで続け、二世、三世に引き継いでいきたい」と力強く語る。
 平上氏は1970年代から同市で大規模なリンゴ生産を開始し、戦後移住者として同地にリンゴ生産をもたらした草分けの一人として知られ、2018年に同州内で行われた日本人移民110周年を記念した表彰でも選ばれている。
 高木総領事は「地元経済・社会への様々な貢献、日系人の地位向上、二国間交流への貢献に感謝と共に大変嬉しく思う」と述べた。ヌーネス市長も「平上氏のような日本人移民を受け入れたことはサンジョアキン市にとって幸運であり名誉。市の経済の7割はリンゴに支えられている」と頷き、「日本の文化や芸術、日本語などの普及活動を継続し、関係を一層強化したい」と語る。
 サンジョアキン文化体育協会の梅宮会長は「平上氏は独自の強いリーダーシップを発揮して地元の発展に極めて大きな貢献をしてきた。今回の表彰は自分としても非常に喜ばしい」と祝した。
 現在、「富士」リンゴの同地での生産量は年間1万2千トンに上り、ブラジル随一を誇るリンゴ生産都市に成長。19年1月3日には「リンゴの首都」の称号を与える法案が承認されている。

 

 
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