5月31日に急きょ、ブラジルで開催とアナウンスされたサッカーのコパ・アメリカに対し、一部の州が「自分たちの州では開催させない」と強く反発している。5月31日、6月1日付現地紙、サイトが報じている。
コパ・アメリカは通常、国内のいくつかの都市にまたがって開催されるが、5月31日の時点ですでに、ペルナンブッコ州とリオ・グランデ・ド・ノルテ州が州が、コパ・アメリカには同州のサッカー・スタジアムを使わせない意向を表明している。ペルナンブッコ州はレシフェ、リオ・グランデ・ド・ノルテ州はナタルのスタジアムが、2014年のサッカーW杯の会場として使われた。
一方、サンパウロ州やバイア州は開催に反対の意向を示していない。バイア州は「無観客での開催であるのならば」との条件提示を行っている。
コパ・アメリカの開催は、現在、上院で行っているコロナ禍の議会調査委員会(CPI)の委員たちにも悪印象を与え、レナン・カリェイロス報告官は「死の選手権」と呼んで批判し、ネイマールに同大会に出場しないよう求めた。
南米サッカー連盟(CONMEBOL)はすでに、6カ国の代表選手にワクチン接種を行ったと公表しており、ブラジル代表のためのワクチンも送付済みだ。ブラジル代表は現在、接種のための準備を調整中だ。
今回のコパ・アメリカのブラジル開催は、それ以前から予想されている「6月のコロナ第3波」を悪化させる可能性があるとして、国内外から不安視されているが、ボルソナロ大統領は1日、「私や現政権の閣僚の裁量で決められるなら断る理由はない」とし、支持者たちの前でブラジル開催を擁護する発言を行った。
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第3波到来かとの懸念が高まる5月31日、急きょサッカーのコパ・アメリカの開催国にブラジルが選ばれたことに関して、政界や州だけでなくネット上でもかなり強い反発が起きている。ただ、それは直情的な怒りに満ちたものだけでなく、ブラジルらしいユーモラスな風刺に満ちたものも目立っている。「大会イメージ・マスコットはクロロキートか、コヴィジーニョか」という記事では、ボルソナロ大統領推奨の薬品「クロロキン」をデザインした人形「クロロキート」の腹部に、コパ・アメリカをもじった「セパ・アメリカ(アメリカ変異株)」の文字が入った画像が拡散されている。ブラジル人のこうしたセンスには毎度うならされるが、心配なのは大会が迫ってのデモ。2013年コンフェデ杯の再来にならなければ良いが。
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