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《ブラジル》記録的な干ばつで水不足=電力危機やインフレ懸念も=2001年の悪夢再び?

記録的な少雨でインフレや電力不足が起こり得ると警告する5月31日付G1サイトの記事の一部

 【既報関連】この夏の記録的な少雨で干ばつが深刻化し、電力不足やインフレなどへの懸念の声が高まっていると5月28日~6月1日付現地紙、サイトが報じた。
 北部のアマゾナス州ではネグロ川の水位が新記録を更新しているのに、南東部では記録的な少雨と首を傾げる人もいそうだ。
 だが、南東部と中西部の主な水力発電所の貯水ダムの4月の貯水量の平均は34%で、15年の33%は上回ったものの、11年以降では2番目の低レベルだ。
 5月27日開催の電気部門観測委員会(CMSE)によると、昨年9月~今年3月の貯水ダムへの流水量は過去91年間で最少だったという。
 また、全国自然災害監視警報センター(Cemaden)によると、4月の統合干ばつ指数(IIS)は同月が3月より少雨だった事を示しているという。
 少雨が目立つのはサンパウロ州、マット・グロッソ・ド・スル州、ゴイアス州南部、ミナス州西部で、これらの地域の248市は、干ばつの度合いが4段階の4だった。
 国立気象システム(SNM)は5月28日、国家水資源庁(ANA)やCemadenと共同作成した資料から、サンパウロ州、マット・グロッソ・ド・スル州、ミナス州、ゴイアス州、パラナ州の5州では6~9月が記録的な少雨になると予告した。
 この予測が的中した場合、これら5州の水力発電所のダムの水位がさらに低下し、発電量減少に拍車がかかる。この場合は火力発電への依存度が高くなり、電気代が値上がりする。
 実際に、火力発電の稼働率上昇による電気代の追徴金は6月1日から赤旗2になった。旗が緑だと追徴金はないが、黄、赤1、赤2の順で追徴金が高くなる。5月(赤1)の追徴金は100キロワット/時あたり4・169レアルだったが、1日からは6・243レアルとなっている。

 追徴金が加わる事による電気代の値上がりはそれだけでもインフレ圧力となるが、少雨は農業生産でも、作付や収穫の遅れと値上がりを招く。
 干ばつの影響は既に、トウモロコシや砂糖、小麦、カフェ、オレンジ、肉類、牛乳、卵、燃料(エタノール)の値上がりとなって表れている。
 干ばつで収量減少や灌漑コストの上昇などが起きた上に、国際的なコモディティの値上がりやドル高レアル安、それに伴う輸出増加などが加われば、国内価格はさらに上昇する事になる。
 鶏肉の場合は、精肉会社がトウモロコシの値上がりなどの分を消費者価格に転嫁するのを避けており、値上がり幅が抑えられているが、エタノールの値上がりはガソリンの需要増や燃料全体の価格上昇も招く。
 夏の少雨はラニーニャ現象が直接的な原因とされているが、専門家は法定アマゾンなどでの不法伐採や森林火災の影響も否定しない。ラニーニャ現象は3月で終わったとされているが、現在は小休止に過ぎず、余り間隔を置かずに再発する可能性を説く人達もいる。
 6~9月の少雨は2001年のような広域での電力不足を引き起こす可能性があり、正規契約を交わしていない火力発電所からの電力購入の動きや、公的機関による特別対策室設置の動きも出ている。今年の状況は水危機が言われた14年以上とされており、節水、節電は必至だ。

★2014年10月24日《ブラジル》TCU=連邦政府の責任を追及=水不足はサンパウロ州のみならず=電力不足の懸念も高まる
★2012年12月1日《ブラジル》ダム水位10年で最低=新しい発電所に懸念湧く=北東伯には家畜の墓場も
★2013年4月9日《ブラジル》北東伯=干ばつが地域経済に影響=大統領の口約束に不満=将来への不安は解消せず=貧者が立ち上がる手段なし
★2015年2月13日国も節水キャンペーン=干ばつと食糧生産の会議も