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コパ・アメリカと東京五輪、どちらが危険?

国民が皮肉った、コパ・アメリカの偽マスコット、クロロキート

国民が皮肉った、コパ・アメリカの偽マスコット、クロロキート

「これじゃ東京五輪どころの話じゃないではないか」。サッカーのコパ・アメリカのブラジル開催の報を聞いて、そう思わずにいられなかった。
 昨今、日本では変異株流入の影響でコロナ感染者の数が落ちず、五輪開催1カ月前まで緊急事態宣言が継続されることが決まっている。そんな状況の中で日本政府とIOCが「ハルマゲドンが起きようが」五輪を行おうとしていることに、世論の反発が高まっている。
 だが、実数比較してみると、日本は5月31日時点での過去7日間で、コロナ死者の1日平均が94人、感染者のそれが3503人だ。
 対するブラジルは、同じ条件で1日の死者平均が1848人、感染者平均が6万685人。実数としてはブラジルの方が20倍近く悪い。こんな状況でスポーツ・イベントを開催するのは、国際的に見て正気の沙汰ではない。
 ブラジルでのコパ・アメリカの開催の決め手となったのは、感染状況グラフが、本来開催予定地だったコロンビアやアルゼンチンが感染者、死者共に急増状態だったが、ブラジルが微増で安定していたためという。
 とはいえ、実数で見れば、ブラジルの1日平均の死者数、感染者数はインドに次いで「世界2位」。世界に恐怖感を与えるには十分すぎる数字だ。
 加えて、これを後押ししたのがボルソナロ大統領だというからあきれる。現在、上院のコロナ禍CPIで、ワクチン提供の交渉を半年以上無視していた事実などが発覚し支持率急落中。
 さらにコパ・アメリカ開催で「コロナ第3波で感染者、死者数が悪化」などということになったら、今以上に責任追及は激しくなるだろう。悪化の状況いかんによっては「米国を抜いて死者数ワースト」ということさえありうる。
 「見ろ。日本の五輪開催より馬鹿げたものがあるじゃないか」と思われる人もいるかもしれない。だが、コラム子に言わせると「どっちもどっち」だ。どちらも開催しないに越したことはない。
 なぜなら「開催したところで参加は10カ国」に過ぎないコパ・アメリカに対し、五輪は100カ国以上の参加が予想される。集客も「終始、無観客試合」が考えられるコパ・アメリカに対し、五輪でそれは難しい。
 また競技の開催に関しても、コパだとせいぜい1日に1、2試合で済み開催地区も分散されるが、五輪だと東京1カ所に競技が集中し、しかも開催される内容が多様だ。「人の移動」のリスクは、五輪の方が圧倒的に高い。
 コパも五輪も運営側に強行姿勢が見える。いずれにしても、もし「一大感染イベント」になれば、大会だけでなく、スポーツそのものが「コロナ時代の悪役」になりうる。そんなことも考えなければならないのではないか。(陽)