アマゾナス州マナウス市で5日深夜から6日朝にかけて、バス14台と警察車両2台などの焼き討ちその他の破壊行為が起き、市民が恐怖に慄く事態が起きた。警察は容疑者の割り出し、逮捕に努めているが、破壊行為は6日夜から7日未明にかけても再発し、7日の同市はバスも通らず、学校も休みという状態が続いていると6~7日付現地紙、サイトが報じた。
同州保安局によると、今回の破壊行為は、5日夜の軍警との抗争で麻薬密売者のエリキ・バチスタ・コスタ(通称ダジーニョ)が死亡した事が引き金で、ダジーニョの兄弟の通称トンが収監されている刑務所の中から攻撃命令が出たという。
刑務所の中から指示が出ていたという情報は諜報担当の部門からのもので、保安局では、指示を出した人物が特定でき次第、連邦刑務所への移送手続きを行う意向だ。
消防によると、最初の焼き討ち行為が始まったのは夜中の0時頃だ。焼き討ち行為はマナウス市内11区と、パリンチンス、カレイロ・カスタニョの両市で起きた。
焼き討ち被害に遭ったのはバスや警察車両が中心だが、マナウス市では市役所の建物や銀行も襲撃されたという。襲われた市役所の建物はコンペンサ区にあり、覆面姿でガソリンの入った容器を持った賊が侵入して来たため、警備員も退去。賊達は事務所内と、停めてあったトラクターに放火して逃げたという。
州都で焼き討ちに遭ったのはバス中心で、覆面姿で武装した賊が運転手達を制圧後、放火。これを受け、大半の地区で6日のバスの運行が止まった。ネグロ川の水位が新記録の30メートルに達し、一部区域は水の上を渡した板状の橋を通ってしか移動できなくなっている上にバスも止まり、足を奪われた人々が途方に暮れる姿も見られた。
また、救急車(Samu)1台とゴミの収集車1台が焼き討ちに遭ったため、ごみの収集会社もサービスを停止した。
攻撃は6日夜から7日未明にかけても繰り返され、マナウス市の警察署や保健所、バス会社の組合の建物、銀行に火炎瓶が投げ込まれたりした。警察署には手りゅう弾も投げ込まれたが、不発に終わったという。再度の攻撃を受け、同市のバスの運行は停止され、学校の授業も中止となった。同日はカレイロ・カスタニョ市でも市役所の建物への放火が起きた。
これらの動きを受け、同州保安局はマナウス市内と周辺都市の警戒態勢を強化。同州のウイルソン・リマ知事は6日夜、国家治安部隊(FN)の派遣を要請した。
また、6日には、マナウス市での破壊行為に加担し、新たな攻撃準備を行っていた容疑者14人と、パリンチンス市での破壊行為に加わった容疑者1人が逮捕されたが、7日正午現在では、同日の逮捕者は明らかにされていない。
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