新型コロナへの感染を恐れ、対面授業が始まっても子供を学校に行かせないという親も多いが、学校での活動が制限されている事の影響は幼児や年少者ほど大きいとの報告がなされたと7、8日付伯字サイトが報じた。
パンデミックによる学校の授業停止は、昨年3月の連邦直轄区を皮切りに全国に広がった。当初はこれ程長びくとは思わずに学校を閉鎖した自治体も多く、遠隔授業を行うための準備も後手後手となっていたが、状況は少しずつ改善している。
だが、コロナ禍で対面授業やその他の活動が思うように行えない事による影響は、本当の意味では解消できていない。
教師や生徒が直面する問題の一つは、携帯電話やタブレットも含む、遠隔授業用のハードやソフトの不足や、それらを使いこなせない事だ。遠隔授業では生徒の反応が見え難く、理解度の確認は難しいし、課題の提出や添削も含めて、カリキュラムをこなすのが困難な教師や生徒も多い。
この事は、3672市の担当者達に現場の苦労や問題を尋ねた結果、95%が遠隔授業でのインターネット使用に問題があったと答えている事からもうかがえる。
教師や友人との接触や活動が制限された影響は、幼稚園や保育園に在籍する幼児や、識字能力の基礎を築く小学校の低学年児ほど大きいとの報告もあった。
この時期は、思い通りに手足を動かすための運動協調性や社交性、バランス感覚、発話、理解などの発達に大きな意味を持つ。それだけに、体や手足を動かす事や人との接触、周囲の音や声を聞いて理解し、自分の考えを自分の言葉で話す事などが不可欠だ。
そういう意味で、人との接触が難しく、画面の向こうから一方的に与えられて終わりやすい遠隔授業は、生徒の必要の一部しか満たせない。この問題は、識字力がない幼児や低学年児の場合は特に大きい。
フィードバックの乏しさは、次の授業の準備をする教師にとっても悩みの種だ。ユニセフの調査では、小中学生の40%はコロナ禍のために学校とのコンタクトを失ったか希薄になった事も分かっている。
専門家は、幼児や低学年児に対してはなるべく早期に対面授業を再開する事を勧めると共に、社会福祉的な支援、スポーツその他のサービスも含めた全国的なプロジェクトの必要も解いている。
そのためには、教師や生徒への防疫対策、授業以外の場所も含めた接触の機会の創出、理解不足を解消するための補習なども必要となる。
だが、対面授業再開後にコロナに感染した教師や死亡した教師が増えている事や、3歳以下の子供の場合、感染を恐れて子供を保育園や幼稚園に送らない親は過半数に上るなど、学校だけでは解決できない問題も多い。
サンパウロ市では7日、コロナ感染症で再び教師が死亡した事を受け、市議会前で教職員全員に予防接種を行うよう求める抗議行動が起きた。ブラジルでは子供の感染率や死亡率が高い点も、成人が集団免疫状態に置かれれば改善され得る。国の将来を担う子供達のためにも、早急な接種拡大その他の対策が待たれている。
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サンパウロ州のワクチンの接種対象の日程は急に変更されることがあるので気をつけなくてはならないが、今日9日からは45、46歳の教職員が接種の対象となる。本来、46歳以下の教職員への接種は7月21日からの予定だったが、この2歳分の人たちだけ、くりあがることになったことは2日に発表されている。常に最新情報の確認を。9日からはインフルエンザの予防接種も対象が変わる。両方の接種を受ける人は、間隔を2週間開ける必要がある点にも要注意だ。
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