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《ブラジル》ポルキロ・レストランが激減=コロナ禍で既に40%が閉店

ポルキロの店(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 新型コロナの感染拡大による外出規制強化や在宅勤務の増加で、セルフサービス方式の食堂(ポルキロ)などの閉店が相次いでいると、5月20日付G1サイトや8日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
 ブラジル・バール・レストラン協会(Abrasel)によると、キロいくらで食事を出すポルキロのレストランは全国に約20万軒あったが、現在は12万軒に減ったという。
 バール(軽食店)やレストランはコロナ禍で苦戦している業種の一つで、デリバリーで客を繋ぎ止めようとしている店も多い。だが、手早く食事ができ、学生や会社勤めの人が多い地区中心に増えていたポルキロは、遠隔授業や在宅勤務の増加、外出規制で入場そのものや入場者数が制限され、壁に直面している。
 サンパウロ市南部で食堂を営むレナト・レザミニ氏は、ポルキロの店では経営が成り立たず、固定メニューの食事を提供するア・ラ・カルトに切り替えた。だが、パンデミック前は350~400食を出していたのに、デリバリー込みで40食/日程度となり、赤字経営が続いているという。
 同氏によると、在宅勤務増加で人の動きが減った商業地区はデリバリーの需要は少なく、新型コロナによる外出規制強化を切り抜ける有効手段にはならないという。
 サービス業は感染終息に向けた先行き不透明感と外出規制による影響が深刻な業種の一つで、店を開け続ける事や雇用の維持に困難を覚えている企業主が多い。Abraselは、この状況はパンデミック終息後も3~5年は続くと見ている。

 同協会によると、パンデミックで閉店に追い込まれたバールやレストランは約33万5千軒で、130万人が職を失ったという。同種の店はサンパウロ市だけで1万2千軒、サンパウロ州では5万軒が閉店となった。
 経済学者のトマス・カルルセン氏によると、バールやレストランは個人経営や零細、小規模企業が多い業界の一つで、負債を抱えている店も多い。規模が小さい店は、負債の再交渉や負債完済がより困難だという。
 商業地区でレストランを営むマリア・テレーザ・ジアス氏は、顧客激減で家賃などの支払いも困難になり、店の所有者と交渉して、当面の家賃を免除してもらった。
 また従業員とも話し合って、一時帰休や時短・減給措置を採用した。同氏の店は木曜日と金曜日がかきいれ時で、パンデミック前は木曜日に約550人、金曜日には長蛇の列ができていた。だが、先週の木曜日の客は36人、金曜日は客が入らず休業中だ。
 メイレ・ペドローゾ氏は、在宅勤務増加や顧客減少で創業20年、従業員15人の店を閉めた。店の規模や従業員数の縮小も試みたが、採算はとれなかったという。負債は50万レアルに及び、冷凍庫やテーブルなどを売り払っても5万レアルにしかならなかった。
 サンパウロ市中央部でポルキロの店を開いていたカシオ・ヒロタ氏も、デリバリーで乗り切ろうとしたが、負債が15万レアルに膨らみ、政府の融資も得られなかったため、創業6年の店を昨年9月に閉じている。
 カルルセン氏は、閉店は経済の後退だけでなく雇用の縮小も招くとし、ポルキロをはじめとするバールやレストランが生き残れるかは予防接種の加速次第だと強調した。

★2020年8月20日≪サンパウロ市≫コロナ禍でバール半分閉店=手が届かない企業向け融資=本格的な企業倒産これからか
★2021年3月2日《ブラジル》店舗数が7万5千も減少=零細・小規模企業が大半
★2021年6月3日《記者コラム》大統領は経済重視と言うけれど
★2020年4月9日《ブラジル》新型コロナ感染者1万5927人、死者800人=外出自粛令徹底されず=ファヴェーラの人出戻る=サンパウロ州知事、逮捕の可能性を口に