最高裁は10日、この日に上院のコロナ禍に関する議会調査委員会(CPI)に召喚されていたアマゾナス州のウイルソン・リマ知事に対する人身保護令を認めた。これを受け、同知事がCPIへの出頭を拒否したため、同氏の証人喚問はならなかった。だが、CPIはこの日、エドゥアルド・パズエロ前保健相やエルネスト・アラウージョ前外相ら17人に関する、電話の通話内容や銀行口座の明細の開示を認めた。10日付現地サイトが報じている。
最高裁のローザ・ウェベル判事はこの日、リマ知事が求めた人身保護令の適用を認めた。この場合、CPIへの出頭は任意となる上、出頭した場合も黙秘が認められる。
同知事はこれを受け、6日から同州で起こっている犯罪集団による連続犯罪の捜査を理由に、朝一番で、CPIには行かないとCPIのオズマ―ス・アジス委員長に連絡を入れた。この連続犯罪ではすでに41人が逮捕されている。
リマ知事への召喚はそれ以前の今月3日、同州マナウス市での臨時病院再開にあたっての不正疑惑で、同知事や同州保健局らを対象とした捜査「サングリア作戦」が行われたことや、同州での医療崩壊についてを明らかにするために求められていた。この捜査では、同州と契約した臨時病院を経営する企業家のネウソン・リンス氏らが贈収賄工作の容疑などで逮捕された。
ローザ判事は、リマ氏が「CPI捜査の対象となる理由が曖昧だ」として、この件を理由としてのリマ氏のCPI召喚を不必要と判断した。同判事はさらに、「CPIに行っても構わないが、その際は黙秘権を認める」との判断も下している。
CPIはこの判断を不服として、上告する意向だ。
リマ知事が最高裁によってCPIでの証言を免れたことは、連邦政府としては痛かった。それは、コロナ禍に関して疑惑のある州知事たちにコロナ禍の責任追及の目が向けられることで、ボルソナロ大統領をはじめとした連邦政府関係者への責任追及の目をそらしたい思惑があったためだ。
また、CPIではこの日、調査対象となっている人物17人に関する電話の通話内容や銀行口座の詳細の開示などを決める投票が行われ、情報開示が認められることになった。
対象となったのは、今CPIでの調査の中心となっているパズエロ前保健相やアラウージョ前外相に加え、「影の委員会」のコーディネイト役とされるフィリペ・マルチンス大統領府国際問題補佐官、同委員会への参加が噂されている企業家のカルロス・ウィザルジ氏やパオロ・ザノット医師、すでに今CPIでも証言を行っている「クロロキン女隊長」の異名をとる保健省のマイラ・ピニェイロ医師、「サングリア作戦」の捜査対象にもなったアマゾナス州元保健局長のマルセルス・カンペーロ氏、今週浮上した、コロナ感染症の死者数に関して疑問を呈した報告書の作成で問題となった連邦会計検査院(TCU)の会計監査官のアレッシャンドレ・フィゲイレード・コスタ・エ・シウヴァ・マルケス氏などが含まれている。
さらに、国家保健審議会(CNS)のフェルナンド・ピガット議長や、全国保健局審議会(Conass)のいずれかの代表者を召喚することも決められた。