ブラジル全体では48万人のコロナ死者数を記録し、今月中には50万人に達すると予想されている。感染者や入院患者が全国的に増加傾向にある中、ボルソナロ大統領は10日「ワクチン接種をした者、コロナ治癒者はマスクしなくてもいい」と発言して波紋を呼んでいる。
一方、サンパウロ州政府は9日、外出規制の現状維持と予防接種計画の15日間前倒しを発表した。同州では若い人の間で感染や死に対する不安が高まっている。また、9日には国家衛生監督庁(Anvisa)がブタンタン研究所が開発中の「ブタンバック」の人での治験開始に合意したと9、10日付現地紙、サイトが報じた。
初の国産ワクチンへの期待が高まる中、ブタンタン研究所は、ブタンバックの治験参加者は6千人で、許可が出た第1~2段階には400人が参加する予定である事や、治験はサンパウロ市とリベイロン・プレットのクリニカス病院が担当する事などを明らかにした。
同研究所はインフルエンザワクチンの生産量が南半球一で、新しいワクチンの生産にもその技術が適用される。
9日の全国の感染者は1712万2877人で7日間の平均で5万7542人/日増加。死者は47万9515人で1日の増加は1687人/日だから、1日の感染者が7万人台、死者が3千人台だった頃より少ない。
だが、複数の州や市では5月以降、感染者や入院患者の増加が続いており、1日の1日平均の死者は1881人だった事などを受け、コパ・アメリカの開催期間中(6月13日~7月10日)は感染状況が悪化し、1日の感染者が11万5千人に達し得るとの予測が5日に出ている。
入院患者増加は、9日現在の集中治療室(UTI)の占有率が連邦直轄区と11州で90%を超え、9州で80%超、17州都でも80%超という、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)の報告でも明らかだ。
サンパウロ州に限ってみると、州保健局が7日、UTIの入院患者の平均が4月23日以降初めて、1万1千人を超えたと発表。同州でのUTIの患者はその前の22日間増え続いていたという。
同州では母の日の直前に外出規制が緩和され、ショッピングや一般商店の営業時間や入場者数が拡大された。若干の緩和はその後も起き、新変異株の出現も確認済みだ。
現状を受け、サンパウロ州政府は9日、営業時間や入場者数なども含め、現行の「移行フェーズ」を30日まで延長と発表。UTI占有率が90%超の地域(17中8)や市ではより厳しい規制適用もあり得る。9日現在の感染者は338万2448人で、死者は11万5960人、UTIの患者は1万1189人で占有率は82%だ。一般病室にも1万3358人おり、今後10日間は患者増が続くと見られている。
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また、サンパウロ州の新型コロナの予防接種の15日間前倒しも発表された。新接種計画は以下の通り。
▼10日からは18歳以上の妊婦と出産直後の女性や恒常的な障害があるが公的支援を受けていない人
▼16日からは55~59歳
▼7月9日からは54歳
▼7月20日からは50~53歳
▼8月4日からは45~49歳
▼8月19日からは40~44歳
▼8月29日からは35~39歳
▼9月8日からは30~34歳
▼9月18日からは25~29歳
▼9月28日からは18~24歳で、10月18日までに初回接種を終了する。
4月に行われた15~24歳対象の調査によると、感染が怖いは89%で、昨年同月の83%より増加。家族や友人の感染が心配は94・6%、家族が死ぬのが怖いも95・72%だった。
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