ミナス州労働地域裁判所が7日、19年1月25日にブルマジーニョ市で起きたコレゴ・ド・フェイジョアン鉱山のダム決壊事故に関し、死亡した労働者1人あたり100万レアルの賠償金の支払いをVale社に命じたと10日付伯字サイトが報じた。
この事故では、ダム内の汚泥が雪崩のように斜面を下り、従業員や派遣社員、地域住民を瞬く間に飲み込んだ。事故の犠牲者は、遺体が回収された人と未回収の人を合わせて270人に及ぶ。
犠牲者の捜索は事故直後から続けられており、コロナ禍で一時的に中断したものの、今年に入ってから再開。1月14日に見つかった骨はDNA鑑定にかけられ、5月27日に身元確認と発表された。これにより、遺体未回収の行方不明者は10人となった。
今回の判決は、131人の労働者に対し、300万レアルの賠償金を求めたブルマジーニョ・メタベース組合の訴えに対する第1審でのものだ。
Vale社は19年以降、民法や労働法に基づく裁判で20億レアル以上の賠償金を払ってきた。だが、これまでの賠償金は遺族へのもので、労働者本人への賠償金支払い命令は初めてだ。
死者への賠償金支払いは昨年12月に最高裁が出した判断に基づくもので、賠償額は100万レアルに定められたが、抗告もあり得る。
Vale社は今年2月に、ミナス州や同州検察局、連邦検察庁などと376億レアル余の賠償金支払いで合意を結んだ。これは団体・機関向けで、個人向けではない。
遺族との合意は19年7月に成立し、伴侶や子供には50万レアル、兄弟には15万レアルを払う事と、扶養家族には最低80万レアルの手当てを払う事が約束された。
昨年4月に成立した6組合との合意では、各従業員に最大25万レアルを支払う事が決まったし、19年に遺族が起こした裁判の一つでは、1180万レアルの賠償金支払いが命じられた。
なお、ブルマジーニョで決壊したダムは鉄鉱石の採掘時に出る鉱滓投入には使われなくなった休眠ダムだ。だが何らかの理由で流れ込んだ水が汚泥に浸み込んで液状化現象が起き、ダムの下部から崩れたと見られていた。
休眠ダムは鉱滓を取り出して公園などに造り変えるなどの安全策が求めれているが、同州の地域労働監督局は10日、Vale社が所有するマリアナ市のシングーダムでも液状化現象が起こり得ると警告した。
同ダムへの鉱滓投入は20年以上前に停止された事になっているが、少数の従業員は現在もダム周辺で働いており、昨年3月に国家鉱業庁(ANM)が使用を禁じた。
だが同監督局によると、実際にはまだ、それも不適切な方法で鉱滓が投入されているという。同ダムの決壊の危険度は3段階の2だが、同監督局は「重大な事故が起こる可能性あり」として、4日にダム周辺の鉄道の運行停止を命じた。
Vale社は「毎日観察を行っており、決壊の危険はない」というが、同監督局は改めて、ダムのレベル上昇が起きており、液状化現象が起こり得ると警告を発した。
★2021年2月5日《ブラジル》ブルマジーニョでValeが州政府と合意=376億8千万レでサイン
★2020年1月25日《ブラジル》ブルマジーニョの鉱滓ダム決壊事故から1年=地域や住民の苦しみは続く
★2019年7月25日《ブラジル》ダム決壊で死んだ川=(上)=パラオペバ復活の日はいつ?=Valeによる対策進むも
★2021年6月8日《ブラジル》Valeが鉄道などの活動停止=ミナス州マリアナ市のダム周辺