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《ブラジル》コロナ感染者と死者が増加=悪化の予想的中=サンパウロ州は接種前倒し

死者の週毎の推移(保健省公式サイトより)

 新型コロナの感染第3波への懸念が広がる中、感染学上の第23週(6月6~12日)は感染者と死者が共に前週より増え、保健省も死者増加との見通しを示した。
 死者増加は、感染者増や入院患者増、集中治療室の占有率上昇から予想されていた。
 ケイロガ保健相は8日、上院コロナ禍議会調査委員会(CPI)で、直前の15日間は感染者増加のペースが速まっているとし、死者が増加に転じる可能性に言及していた。同相は12日も、死者が増加傾向にある事を認めている。
 13日現在の感染者は前日比で3万7948人増の1741万2766人、直近7日間の新規感染者は6万6529人/日、死者は前日比で1129人増の48万7401人、新たな死者は2千人/日となった。
 感染学上の第23週の感染者は47万7393人(6万6770人/日)で、前週を7・2%上回った。同週の死者は1万3741人(1963人/日)で、前週より19・8%増えた。直近7日間の感染者は9日の5万7542人/日以降、死者は7日の1656人/日以降、増え続けている。
 第23週は前週比で感染者が増えた連邦自治体が20あり、死者も20自治体で増えた。感染者と死者が共に減ったのはアクレ州のみだ。地域別で見ると、全地域が感染者、死者共に増加した。前週は北部、北東部、南部で感染者と死者、南東部で死者が減っていた。感染者や入院患者が増えると、2~3週後に死者が増える傾向がある。

感染者の週毎の推移(保健省公式サイトより)

 感染者や入院患者の増加で外出規制の強化や厳しい規制の維持が起きれば、経済活動も制限される。経済活動低下は失業率上昇や国内総生産(GDP)の成長率低下を招き得るため、専門家や企業家はワクチン接種の早期実施を切望している。
 接種を受けた人は感染したり、感染させたりする可能性が減るため、接種が進めば、工場や商店、事務所、学校などが活動を止める必要が減る。
 感染拡大抑制にはマスク着用や手指の消毒、社会隔離などの方策を予防接種と併用する必要があるが、拡大抑制をダメ押しするのは予防接種だ。

予防接種計画を前倒ししたサンパウロ州政府

 このため、サンパウロ州のジョアン・ドリア知事は13日、3度目の予防接種計画の前倒しを行った。同州政府は優先グループで接種済みの人の数を再考し、保健省の配布計画に沿って前倒しを決めたという。
 新たな接種日程は以下の通り。16~22日は50~59歳、23~29日は43~49歳、30日~7月14日は40~42歳、7月15~29日は35~39歳、7月30~8月15日は30~34歳、8月16~31日は25~29歳、9月1~15日は18~24歳。18歳未満の接種は、保健省や国家衛生監督庁(Anvisa)の判断待ちだ。
 マナウス市で医療崩壊が起きたアマゾナス州や外国船籍の船の乗組員のインド株感染が判明したマラニョン州のように、他州より多めにワクチンが送られた州は接種が早めに進んでいるが、連邦直轄区では10月時点でも成人の7割程度の見込みなど、接種状況は州毎にばらつきが出ている。

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