すでに「効用がない」との研究結果が出た後も、外務省がインドの企業3社にクロロキンを求めていたことや、連邦政府がファイザー製薬のワクチンの返事に2カ月かかっていたところが、クロロキンだと15分で返答を行っていたことなどが明らかになった。さらに、上院のコロナ禍の議会調査委員会(CPI)では15日、アマゾナス州の元保健局長が、「保健省はクロロキンによる早期治療を求め、同薬を送ってきた」との発言も行われた。12〜15日付現地紙、サイトが報じている。
グローボ局は12日、外務省が2020年6月にインドの企業3社にクロロキンを求める連絡を行っていたことが分かったと報じた。
この動きは、情報公開法に基づいて得た連邦政府の記録で明らかになった。
また、外務省がインドの企業の一つから、30トン分を作ることが可能だが、製造から輸出までは最低4週間かかり、製造価格は1キロにつき190米ドルなどとする情報を得ていたことも分かっている。
この時点ですでに、世界保健機関(WHO)やブラジル感染症協会(SBI)、ブラジル医師協会(AMB)などは、クロロキンはコロナウイルスの治療には効果がないと発表していた。
コロナ禍CPIが得た情報では、ボルソナロ大統領がインドのモジ首相に直接電話をかけ、ブラジルの二つのクロロキン製造工場であるEMSとアプセンに主成分を送ることを依頼していたという。
15日付エスタード紙の報道によると、インドから外務省に送られてきたクロロキンに関するメールには15分ほどで反応していたという。
これらは主にインド外務省のガウラヴ・クマール・タクール氏とインドのブラジル大使館内ナンバー2のエリアス・アントニオ・デ・ルナ・エ・アルメイダ・サントス参事官との間で交わされたもので、2020年3月から7月までだけで54通に上っていた。
一方、ファイザー製薬のコロナワクチンに関しては、ブラジルからの返答は2カ月以上を要していた。
そして15日、上院のコロナ禍CPIでは、アマゾナス州元保健局長のマルセルス・カンペーロ氏が証言を行った。カンペーロ氏はそこで、保健省で「クロロキン女隊長」の異名をとるマイラ・ピニェイロ医師が、同州で医療崩壊が起こる10日前の1月4日にアマゾナス州を訪れた際、「クロロキンによる早期治療を薦めた」と語り、「その後に12万回分のクロロキンを送ってきた」と証言した。マイラ医師は5月25日にCPIで証言を行った際、この疑惑を否定していた。
CPIが得た資料によると、アマゾナス州の医療崩壊の一因ともされた酸素供給企業ホワイト・マルチンスによると、2020年7月にはすでに、同州に対して、「新たな医療崩壊が起きたら、同州での酸素の在庫では応えられなくなる」と警告していたという。