連邦政府が生活扶助(ボルサ・ファミリア)の見直しに合わせ、コロナ禍で家計の責任者である親を失った子供達への特別支援を考えていると15日付エスタード紙などが報じた。
15日現在で、コロナ感染症による死者は49万人に達し、あと1週間程度で50万人を超えると見られる。その中で家長を失った家庭への支援も見過ごしにできない。特に深刻なのはコロナ禍で生じた大量の孤児で、連邦議会でもコロナ孤児救済のための法案が審議されている。
連邦政府が検討中のコロナ孤児支援策は、コロナ感染症で親や扶養責任者を失った子供達が18歳になるまで、月額240~250レアルを支給するというもの。
現行の生活扶助の基準では子供達は付加支給の対象でしかなく、月額41レアル(約893円)しか受け取れない。現時点では、コロナ孤児は3万5千世帯で6万8千人、22年の必要経費は1億9620万レアルと見込まれている。
コロナ孤児は、生活扶助を受けている低所得家庭の情報を登録している統一登録システム(カダストロ・ウニコ)を基にして割り出され、特別支援金も自動的に支給されるようになる。この支給額は生活扶助の受給資格を決める1人あたりの世帯収入には含まれない。
コロナ孤児の問題は経済的な基盤の脆弱さだけにとどまらない。特に深刻なのは、婚姻関係を正式に届け出ていない夫婦や、離婚や死別でシングルマザーとなっていた女性が亡くなった場合だ。
セアラー州在住の33歳の男性は、正式に婚姻届を出していなかったため、女性が死亡した後に生後4カ月の息子の出生届が出せず、司法支援センターの助けを必要とした。
他方、生活扶助の見直しは緊急支援金の支給延長の話と共に現実味を帯びてきた。政府は当初、緊急支援金の支給延長前に生活扶助の見直しを行う意向で、市民省などを軸にレンダ・シダダン(Renda Cidadao)の仮称で検討を続けていたが、見直しに時間がかかり、緊急支援金の支給延長を先行させる必要が生じた。
緊急支援金の支給延長は2~3カ月の見込みとされていたが、ゲデス経済相は14日、3カ月延長との意向を表明した。緊急支援金の支給延長には、連邦議会が承認した予算枠外支出440億レアルの内、4~6月の支援金支給後の残金(約70億レアル)と、これから出す暫定令で定める特別支出があてられる。
また、新たな生活扶助は、極貧家庭の基準を1人あたりの世帯収入を95レアル(現行は89レアル)、貧困家庭の基準を190レアル(同178レアル)とする事、毎月の平均支給額を250レアルに引き上げる事などが検討されている。
生活扶助額は子供の数や年齢、就学状態(出欠状況)によって変わる。現時点での見通しでは、22年の受給対象は1670万世帯で必要経費は515億1千万レアルとなる見込みだ。
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