民主党(DEM)党本部は14日、ロドリゴ・マイア前下院議長を党追放すると発表した。これに伴い、マイア氏がかねてから有力視されていた社会民主党(PSD)に移籍することが決定的となっている。15日付現地サイトが報じている。
マイア氏とDEMの関係は、2月に行われた下院議長選で、DEMがマイア氏の推すバレイア・ロッシ氏(民主運動・MDB)ではなく、ボルソナロ大統領の推すアルトゥール・リラ氏(進歩党・PP)を推したことで決裂。マイア氏はその当時から移籍先を物色していた。
今回、DEMがマイア氏を追放した理由には、下院議長選でDEM側と意見が対立した際に、マイア氏が党首のACMネット氏に関して、「22年の大統領選でボルソナロ氏の副候補になろうとしている」と批判しただけでなく、5月にも「バイーアの悪人」「個性のないチビ」などと罵倒したことが「重大なマナー違反」と解釈されたことなどがあげられている。5月の暴言は、サンパウロ州のジョアン・ドリア知事がDEMのロドリゴ・ガルシア副知事をPSDBに引き抜いたことをACMネット氏が批判したのを受けて、発せられたものだった。
だが、この追放処分は、マイア氏の下院議員の任期継続を保証する意味合いもある。選挙高裁の規定では、党が追放処分を行った場合、その議員は任期を剥奪されないからだ。2019年に党移籍を行ったアレッシャンドレ・フロッタ下議も、社会自由党(PSL)から追放処分を受けために、任期を失わずして民主社会党(PSDB)に移籍することができた。
マイア氏は5月に、選挙高裁にDEMからの離党手続きを行っていた。選挙高裁がこの手続きを認めれば、DEM党本部にとってはダメージになるはずだった。
マイア氏の今後は、PSDへの移籍が確実視されている。マイア氏はすでに5月にPSDのジルベルト・カサビ党首と話し合いを行っている。
PSDは中道勢力セントロンのひとつでボルソナロ政権支持の政党だったが、22年の大統領選ではすでに、ルーラ元大統領を支持する方向性を打ち出している。これに伴い、リオ市のエドゥアルド・パエス市長もDEMからPSDへ移籍している。
マイア氏自身も7日に、「22年の大統領選で決選投票がルーラ氏とボルソナロ氏のあいだで行われたならルーラ氏に投票する」と語っている。