中央銀行は16日、経済基本金利(Selic)を大きく引き上げ、2020年2月以来となる年4・25%とした。17日付現地紙が報じている。
この日の通貨政策委員会(Copom)で決まった。それまでのSelicは3・50%だったが、今回は0・75%ポイントの大きな上げ幅で4・25%とした。これは4・50%を記録した2020年2月以来の高い数値となる。
Selicはこれで3会議連続で引き上げられた。Selicは昨年、コロナ禍による消費の落ち込みが懸念されたことと、その段階ではまだ低インフレだったことから数値を下げていき、20年8月から21年3月にかけては、過去最低レベルの年2・0%が維持されていた。
だが、3月17日に行われたCopomで2・75%に上がり、さらに5月5日の会議で3・50%にあげられていた。
中銀がこのような判断を行った背景には、「インフレへの強い懸念」がある。このところ、ドル高レアル安は落ち着いているが、ここに来て雨不足による水力発電危機が深刻化。電気代の値上がりとそれに伴うインフレ圧力がさけられないものとなり、懸念がさらに強まっている。
Copomは会議後の会見で、こうした金利上昇は「コロナワクチンの接種を進めている新興国ならやっていること」とし、「そうした国々に安定した経済成長を促すものになる」と説明している。
Copomはまた、コロナ禍が鎮静した頃に税制改革を行う必要があるとも主張している。
中銀はすでに、「Selicがさらに引き上げられる可能性」を認めており、次回にはさらに0・75%上がって、2019年12月以来となる5%になる可能性が示唆されているという。
中銀がCopom直前に行った現状の見直しでは、今年のインフレは5・8%となっており、政府目標の上限である5・25%を上回っている。中銀では、電気代の値上がりだけでなく、予防接種の普及で各種サービスの需要が増し、インフレ要因となることも懸念している。