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《ブラジル》保健相「初回接種を9月に完了」22日にはヤンセン社製到着

ヤンセン社製のワクチンの受け渡しに立ち会ったケイロガ保健相(中央、Ministerio da Saude)

 新型コロナによる死者が50万人を超え、ワクチン接種の加速を求める声が一段と高まる中、ケイロガ保健相が予防接種計画を見直し、18歳以上の人は9月までに初回接種を終え、年末には2度の接種も完了と21日に約束したと22日付現地紙、サイトが報じた。
 予防接種計画の前倒しはサンパウロ州やリオ・グランデ・ド・スル州、リオ市なども発表済みだが、新型コロナの死者が50万人を超えた事は、現政権や保健省にもこれまで以上の圧力となった。
 ワクチン購入や予防接種の実施開始の遅れは、連邦政府と地方自治体の対策不一致と共に死者増を招いた主要因とされ、現政権のコロナ対策への批判は高まる一方だ。
 これらを受けた保健省は、予防接種計画を見直し、ワクチン入手量からみて9月までに全成人への初回接種を終わらせる事が可能と発表した。
 ケイロガ氏は22日にヤンセン社製のワクチンが到着する事も明らかにし、グアルーリョス空港でのワクチンの受け渡しにも立ち会った。
 21日現在の接種状況は、初回接種が終わった人が6443万6734人(30・43%)に到達。24時間の接種者は124万9278人で、かなり加速している。
 22日の目玉はやはりヤンセン社製のワクチン到着だが、この日届いたのは当初の見込みの半分の150万回分だった。連邦政府は同社製ワクチンを3800万回分購入するが、初回納入は300万回分の予定だった。

 同社のワクチンは1回の接種のみでよく、防疫対策の加速が見込まれるが、予防接種計画達成上の最大の問題点はワクチンの安定供給だ。
 ヤンセン社製が予定の半分だった事からも分かるように、国外からの輸入が頼りだと、ワクチンや有効成分の到着の遅れが接種計画の遅延を招く可能性がある。オズワルド・クルス財団(Fiocruz)が有効成分の国内生産を始めたオックスフォードワクチンや、ブタンタン研究所が治験を始めるブタンバックのように、国内調達が可能なワクチンへの期待が高まる所以だ。
 一方、22日付エスタード紙は、インド製のコヴァクシンの購入価格が昨年8月に得た情報の1千%も高くなっていたと報道。購入を仲介した企業には汚職疑惑がある事などから、不正の有無が取り沙汰されている。
 なお、今月からは優先接種の対象グループ外の人への予防接種を始めた自治体も多いが、15日付アジェンシア・ブラジルなどによると、予防接種率が最も高い優先接種対象グループは先住民だという。国内在住の先住民75万人以上の82%が最低1回の接種を受けており、2度の接種を終えた人も72%いる。
 ただし、先住民への接種はフェイクニュースの影響が大きく、アクレ、アマパー、アマゾナス、パラー、ロンドニア、ロライマ、トカンチンス、マラニョン、マット・グロッソの法定アマゾン内9州の接種率は初回が77%、2度目も終了は62%のみだ。アクレ州やパラー州では、部落全体が接種を拒んでいるところもあるという。