21日で暦の上の秋が終わったが、秋の間にサンパウロ大都市圏最大の水がめであるカンタレイラ水系に降った雨は平年より53・7%少なく、22年に水の供給が止まる可能性が懸念されている。ただし州水道公社(Sabesp)は、14年の水危機の際に行った工事は充分に機能しており、供給停止の可能性を否定していると22日付G1サイトが報じた。
降水量が大幅に落ち込んだカンタレイラ水系の場合、21日現在の貯水量は3月20日よりも6・5%少なくなっている。秋の3カ月間で降った雨量は水危機が終わった2016年以降で最少で、2013年の秋よりも少なかった。
サンパウロ大都市圏では他の水系でも貯水量の減少が起きている。アルト・チエテの場合、21日の貯水量は3月20日より6・5%減った。グアラピランガでは12・3%減っている。
秋から冬にかけては毎年、降水量が減る。今年の場合は、降水量が多いはずの年頭(夏)も雨が少なかったため、秋が終わった時点の貯水量が一段と少なくなった。
また、今年は春から夏にかけても平年よりも降水量が少ないと見られており、2022年に水不足が起きる事への懸念がより強まっている。
サンパウロ州では2014年から15年にかけて深刻な水不足が起き、14年の5月末にはカンタレイラ水系の貯水量が3・6%まで低下。平年なら使った事がない取水口より低い部分にあるデッドヴォリュームの分をポンプで吸い上げて水を供給したり、他の水系との連動性を高めたりする事で工面した。
カンタレイラ水系は少なくとも10年間、貯水量の減少が続いている。2010年の貯水量は平均99・6%で、翌年も90%以上を保っていたが、2014~15年の水危機以降は、他水系からの給水などがあったにも関わらず、貯水量が60%を超えるのが難しい状態が続いている。唯一の例外は2015年で、貯水量が大幅に回復した。2020年の平均は64・5%だった。
国家水資源庁(ANA)によると、カンタレイラ水系はサンパウロ大都市圏の住民の45%にあたる750万人に水を供給している。
なお、今年の少雨はサンパウロ州だけの問題ではなく、南東部、南部、中西部では6~9月に深刻な水危機や電力危機が起こり得ると案じられている。
近年のブラジルは雨不足で悩んでいるが、その主な原因は法定アマゾンでの森林伐採や地球温暖化、ラニーニャ現象だとされている。